65歳以上の約4割が「収入を伴う仕事をしたい」と考えている-。政府が閣議決定した2026年版高齢社会白書に盛り込まれた調査結果である。海外に比べて割合が高い。健康寿命が延びる中、高齢者が活躍し、成果に応じた処遇を得られる労働環境の整備が求められる。
調査は日本、米国、ドイツ、スウェーデンの4カ国を対象に、内閣府が実施した。日本以外では、収入を伴う仕事をしたいと答えた人は1~2割台にとどまった。日本の高齢者が働きたい理由は「収入が欲しいから」が5割弱と最多だった。物価高が影響している可能性がある。次に「体によいから」が2割強で続いた。
白書によると、日本の高齢化率は29・4%と世界の主要国で最も高い。15歳以上の就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」は、2025年に7004万人で、このうち65歳以上は960万人。全体の13・7%を占め、長期的には上昇傾向にあるという。
人手不足は深刻化しており、高齢者の就労を後押しすることの意義は大きい。だが、60歳を超えると非正規雇用が増え、給与も下がることなどから、働く意欲に水を差すとの指摘が以前からあった。
対策として、厚生労働省は今年4月から、働いている高齢者の厚生年金の支給額を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、満額支給になる対象を広げた。年金を減らす基準額(賃金と年金の合計)を、これまでの月51万円から同65万円に引き上げ、新たに満額を受給できる人が約20万人増える見込みという。
在職老齢年金制度を巡っては、年齢にかかわらず働きやすい環境をつくるために将来的な廃止を求める声がある。しかし、給付増は年金財政の悪化要因になるため、まずは今回の見直しの効果をしっかりと見極めることが重要だろう。
希望者に対する70歳までの就業機会確保が、21年施行の改正高年齢者雇用安定法で企業の努力義務となった。70歳定年の導入割合は中小企業の35・2%に対して、大企業は29・5%にとどまる。動きを加速させてほしい。同一労働同一賃金の徹底なども鍵となるはずだ。























