長崎に原爆が投下されてきょうで81年になる。6日の広島への投下と合わせ、20万を超える人が犠牲になったとされる。「長崎を最後の被爆地に」とのメッセージは、被爆者のみならず人類共通の悲願のはずだ。だが、近年はその誓いに水を差す動きが相次ぎ、深く憂慮する。
米国は7月、サウジアラビアとの原子力協力協定に署名した。ウラン濃縮に道を開き、核兵器開発を可能にする内容だ。サウジのムハンマド皇太子はかつて、核兵器の保有に意欲を見せる発言をしたことがある。
米国は昨年、今年と核開発阻止を目的にイランを攻撃し、停戦交渉ではウラン濃縮を厳しく制限しようとしている。一方で共にイランを攻撃するイスラエルの核保有は黙認している。
友好国か否かで核開発への態度を変える「二重基準」は、開発競争が広がる「核ドミノ」を呼び込む恐れがある。
米メディアによれば、米国は射程の短い「戦術核兵器」の増強を検討している。爆発力が比較的小さく、使用のハードルが低いとされる。イランに対し「文明を消滅させる」と強い言葉を繰り返すトランプ米大統領が「核の脅し」にエスカレートさせる懸念を否定できない。
核拡散の動きは、米国との亀裂が深まる欧州でも目立つ。核兵器を保有するフランスは「核の傘」を欧州の同盟国へ広げる考えを示す。北欧5カ国は「非核」の姿勢を転換し、フィンランドは核の輸入や保持を可能にする法改正に踏み切った。
一方、ロシアは侵攻を続けるウクライナに対し、核兵器の使用をちらつかせる。中国も着々と核兵器を増強しているとされる。核の軍事利用を全否定する核兵器禁止条約のみならず、保有抑制を図る核拡散防止条約の理念すら揺らぐ現状を国際社会は深刻に受け止めるべきだ。
高市早苗首相は就任前、米国が提供する核抑止力を低下させるとして、非核三原則のうち「持ち込ませず」の見直しを唱えていた。広島の平和記念式典のあいさつでは「三原則を堅持している」と現状説明にとどめた。唯一の戦争被爆国として将来にわたり三原則を守る決意を表明し、核軍縮の流れを取り戻す先導役を果たさねばならない。
























