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 米中間選挙は、連邦議会の上院と下院の両方で野党民主党が多数派を4年ぶりに奪還した。与党共和党は牙城とされた州でも敗北を喫した。第2次トランプ政権のかじ取りに、国民が強烈な「ノー」を突きつけたと言える。

 2年前の大統領選挙での「約束」は一体何だったのか-。当時、トランプ氏に期待した有権者の多くは、このたびの中間選挙でそんな思いにとらわれたに違いない。

 「物価を下げる」「戦争をしない平和の大統領になる」とトランプ氏は訴え、圧勝した。だが、中間選挙は物価高対策が最大の争点となった。トランプ氏が声高に主張した約束とは裏腹に、消費者物価は2025年1月の政権発足直前と比べて7%近く上昇し、ガソリンは40%超も跳ね上がった。

 米国で吹き荒れるインフレの原因は、日本を含む世界各国に課した高関税と、イラン攻撃に端を発する中東情勢の混迷が招いたエネルギー価格の高騰だ。にもかかわらず、トランプ氏は打開策を示さず「物価高はバイデン前政権のせい」「ウクライナのロシア攻撃で原油高になった」と責任転嫁に終始した。

 トランプ氏の岩盤支持層「M(マ)AG(ガ)A(米国を再び偉大に)」派に失望が広がったのは当然である。強硬な移民摘発や、大量の電気や水を必要とするデータセンターの建設推進への反発も高まっていた。

 中間選挙で共和党は大敗したものの、トランプ流の政治が大きく変わることはなさそうだ。

 民主党は、上院で政府高官の人事や条約批准などで大統領に待ったをかける公算が大きい。高関税措置を撤廃する法案の成立を目指してもいる。しかし、トランプ氏は拒否権を使って阻止する構えを見せる。民主党は2年後の大統領選の勝利に向け、党内の路線対立を超えて結束できるかが問われる。

 国際社会は不安を抱えつつ外交政策の行方を注視する。この分野は大統領の裁量が大きく、トランプ氏は29年1月までの残りの任期でレガシー(政治的遺産)づくりを優先させるだろう。

 法の支配や国際秩序を省みない米国の自国第一主義がさらに強まる恐れは否定できない。日本や欧州などの同盟国は、そうした事態を念頭に世界の平和と安定に資する多元的な外交戦略を練る必要がある。

 今回の中間選挙でも、人種や性的指向、宗教に絡んだ誹謗(ひぼう)中傷が飛び交った。そうした中で融和や愛を説いて支持を得た候補者もいる。民主、共和の両党には、政治がもたらした社会の分断に向き合い、憎悪の連鎖を断ち切る努力が求められる。