2011年のあの東日本大震災のとき、というより福島第1原発事故のときには、だれもが思ったはずだ。わたしたちはこれまでずっと、じぶんたちの力では制御不可能なものの上に生活の地盤を置いてきたのだと。電力の供給だけではない。おなじようにわたしたちの生活のありようを左右する食材の流通も、物価の上がり下がりも、就労の機会も、ことごとくじぶんたちの手では制御しようがないと。
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