民の声のありようというものが測りがたくなっている。いつの時代もそうだったかもしれないし、社会的な情報媒体がごく限られていた時代はもっとそうだったかもしれない。しかし、新聞、雑誌、テレビ、ネットといった情報メディアが錯綜(さくそう)し、かつ誰もが不特定の人たちに向けて発言できるようになった現代は、その増幅が操作的になされるところもあって、いっそう声のありようを測りがたくしているように思われる。
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忘れまじ まなざしの起点を未来に2017/8/5
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いまどきの… 静かに身を消す新流儀 2014/6/1