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転機を生きる

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キャリアアップのためにはさまざまな技能の習得が求められる(記事と写真は関係ありません)
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キャリアアップのためにはさまざまな技能の習得が求められる(記事と写真は関係ありません)

キャリアアップのためにはさまざまな技能の習得が求められる(記事と写真は関係ありません)

キャリアアップのためにはさまざまな技能の習得が求められる(記事と写真は関係ありません)

 平成時代をひもとく特集「平成模様」の4回目では、時代の波に翻弄されながら懸命に生きる労働者たちを取り上げた。「あなたと私の違いは雇用の形態だけ」。パートの事務職として働く女性(41)は、インタビュー中に何度も口にした。筆者(39)も独身で同世代。胸がうずいた。非正規、アラフォー、未婚。「正規の就職も結婚も出産も経験していない。私には何もない」。彼女の叫びに、あらためて耳を傾けた。

 女性は3年前から、大阪府内で働く。週5日のフルタイム勤務。総合職の正社員と同じように発注手続きやデータ管理をこなすが、給料は正社員のほぼ半分。手取りが15万円に届かない月もある。

 気付けば、同世代の友人は昇進したり、結婚して家庭を持ったり。「みんなと同じように生きてきたはずなのに。私はどこで間違ったんだろう」

 勉強は得意だった。学級委員も任される優等生タイプ。第一志望の大学に現役で合格し、学生時代はアルバイトに明け暮れた。

 大学を卒業したのは「就職氷河期」真っただ中の2000年。約40社を受けたが、内定はゼロ。初めての挫折だった。「景気が回復するまで」と、実家の近くにある会社でパート事務として働き始めた。

 その後も非正規の仕事を転々としながら、簿記やIT、語学などの資格を次々と取得。履歴書の欄が埋まっていくのがうれしかった。

 正社員を目指してハローワークに通っていたころ、リーマン・ショックが起きた。当時31歳。社内で最初に「派遣切り」に遭い、数か月間無職に。周囲から「結婚したら?」「子供欲しくないの?」とのプレッシャーが強まっていた時期だったが、再就職先では休日返上で働いた。「切られないよう必死だった」

 35歳を過ぎて求職で年齢が壁になることが増えると、婚活イベントに通うように。しかし、年齢を理由に断られることが多く、なかなか出会いに恵まれなかった。

 2年前からは、70代の母親の介護が加わった。貯金も少なく、自分が病気になったら生活が破綻してしまう。友人とも何となく距離を置くようになった。

 「安定した仕事と家庭。人並みの幸せでいいのに、それさえ夢物語のように遠く感じる」

 政府が掲げる「すべての女性が輝く社会」とは、ほど遠い現実がある。

     ◇

 非正規社員の割合を男女別にみると、その差に驚く。2017年の労働力調査では、男性の非正規雇用率は35~44歳で9%、女性は52%だった。

 生涯未婚率が上昇し、非正規で働く独身アラフォー女性は増加傾向にある。15年の労働力調査では、35~44歳のシングル女性のうち、非正規で働く人は79万人で約4割を占めた。

 政府や企業は「女性活躍」をスローガンに、子育て支援や管理職登用の動きを加速させている。だが、働き続ける単身世帯を想定した施策は少なく、支援の対象から抜け落ちていく。ひとごとじゃない。そう感じた。(末永陽子)

2018/8/20

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