9月末日に進学希望調査が発表され、いよいよ受験シーズンが本格化してきました。調査の結果を見て一喜一憂している受験生も多いのではないでしょうか?そこで、今回は倍率から考える合格難易度をテーマに話をしたいと思います。

■今年度の倍率予想

 先日発表された進学希望調査はもう確認しましたか?

 進学希望者が定員を下回る場合、入試の出願でも定員割れとなり、合格最低点が下がる可能性があります。

 しかし、複数志願選抜制度を採用している高校では、第一志願で定員割れをしても、第二志願者の動向によっては、合格最低点が大きく下がらない場合もあります。

 そのため、受験を検討している方は、各高校の過去の倍率データや進学希望調査の結果を参考にし、志願校の選定や出願戦略を立てることが重要です。

 例えば、神戸新聞NEXTでは「過去10年の出願倍率」を確認できるページがあります。倍率は、年度ごとに変動しますが、過去10年間のデータを参照することで、各校の人気や志願状況の傾向を把握することが可能です。

 進学希望調査と合わせて中長期の出願データを活用してみるのも良いかもしれませんね。

■具体的な倍率の見方

 実際に各校の倍率推移を見てみるといくつかの傾向が見えてきます。

・A校(安定型)

 過去10年間、ほぼ1.3倍前後で推移しています。難易度は毎年安定して高く、確実に合格を狙うなら「ワンランク上を目指す」準備が必要です。安定して人気がある学校ほど、模試で早めに安全圏に入っておくと安心です。

・B校(変動型)

 10年間で倍率の上下動が大きい学校です。話題性や学科改編などの影響を受けやすく、年によって志願者数が変わります。出願締め切り直前まで倍率の動きを注視し、模試判定や実力に余裕がある場合のみ挑戦するのが賢明です。

・C校(低下傾向型)

 5年前から倍率の低下傾向が続き、直近3年間は定員を下回る状況です。2026年度も比較的入りやすい状態が続く可能性があります。志望動機が明確であれば、チャレンジしやすい選択肢の一つでしょう。

 このように、倍率の背景にはそれぞれの学校の位置づけや地域性、受験生の動きが反映されています。単なる数字の高低だけでなく、「その変化の理由」に目を向けることが大切です。

■今の努力が自分の未来を創る

 ここまで今年度の倍率予想について見てきました。ところで、みなさんはどのような視点で受験校を決めますか。

 特定の高校にこだわりがなく、とにかく公立高校に合格したいのなら倍率の高くなさそうな高校を選択するのはありでしょう。

 一方で本人が行きたい高校にこだわりがある場合、倍率を考えすぎるのは良いことだと思えません。

 読売ジャイアンツやニューヨーク・ヤンキースで活躍した松井秀喜氏は以前「自分にコントロールできないことは、一切考えない。考えても仕方ないことだから。自分にできることに集中するだけです。」と話されています。

 これを受験に当てはめると、倍率は自分ではコントロールできないことですね。一方、合格点をクリアするための勉強は、まさしく自分自身しかできないことです。

 であるならば、必要以上に倍率を気にするよりも、自分がやるべき課題を洗い出し、日々それをつぶしていく方が合格に近づくのは自明です。

 高校入試の出願倍率は一般入試だと高くても1.5倍程度です。これは合格する人の方が、不合格となる人よりも多いということです。

 しかし大学入試や、社会に出るときの就職試験はもっと高倍率となる場合が多々あります。

 そうした高倍率を前にしても、例えば資格を取る、様々な活動をして経験を積む、学業にもしっかり取り組んで自分を鍛えていく人が難関を突破していきます。

 今、自分にできることに全力を尽くす努力が、こうありたいという自分の未来を創っていくのです。高校入試という貴重な機会を、ぜひそれぞれの人生に役立てるようにしてください。

<執筆者>株式会社創造学園常務取締役・手嶋孝紀
 兵庫県を中心に100教室以上を展開する株式会社創造学園の総合進学塾エディック・創造学園にて教室責任者、学区責任者、研修、教務など、あらゆる部署を歴任し、教育現場から経営まで幅広い経験を積む。現在は常務取締役として教務のみならず会社全体を統括しながらも、「教務のトップである限り現場を離れない」という信念を貫いている。どれほど多忙でも教壇に立ち、生徒と共に学ぶ姿勢を崩さない。その現場での気づきが、新しい教材や指導法の開発へとつながり、創造学園全体の教育力向上を牽引している。

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