久しぶりに開かれる同窓会や地元の集まり。懐かしい顔ぶれに胸が熱くなるはずが、いざ会場に着いてみると「誰この人?」と驚く瞬間があります。整形や老化による変化は、写真や実物を通じて思いがけず目の当たりにすることもあります。神奈川県在住のTさん(50代)も思い出と現実のギャップに言葉を失う経験をしました。
■同窓会で現れた「こんな美女いたっけ?」の正体
先日Tさんは、青春時代を過ごした中高一貫の女子校の同窓会に参加しました。特に仲の良かった親友たちとは、卒業後も近況報告を兼ねて頻繁に会っていましたが、実に三十五年ぶりに再会したクラスメイトも多く来ていました。受付で名札を受け取り、知っている名前を見つけると、思わず笑顔がこぼれます。あの時新任で可愛かった先生は、すっかりおばあちゃんになっていました。
しかし、開始直後からTさんは軽いパニックに陥りました。幹事の挨拶が終わり、参加者が自由に歓談し始めたとき、視界に入った女性があまりにも別人で、思わず目を疑ってしまったのです。
すらりとした長身に、彫刻のように整った鼻筋。やや切れ長の目はアイシャドウとまつげエクステで完璧に仕上がっており、頬も額もハリがあって若々しく見えました。Tさんは内心「えっ、あんな人同級生にいたっけ…?」と首をかしげていると、その美女がTさんに気づき、にっこり微笑みました。
そして放たれた一言。「久しぶり!変わってないね!」
Tさんは一瞬、頭の中が真っ白になりました。声には聞き覚えがあります。たしか高三のときのクラスメイトで、一緒に受験勉強をしたWさんです。しかし、その声と目の前の顔がどうしても一致しません。おそるおそる名札を見ると、確かにそこには高校時代、図書館で机を並べたWさんの名前が書かれていました。
整形なのか、美容医療で若返ったのかはわかりません。すらりとした長身だったWさんの骨格はそのままですが、顔だけは完全に別人でした。あまりに別人すぎて、逆に昔の面影を探そうと凝視してしまい、失礼になるのではと冷や汗をかきました。
同窓会では「変わらないね」という言葉が挨拶代わりになります。しかしこのときばかりは、「変わったね!」と全力で言いたい気持ちを抑えるのに必死でした。年月の流れで老けることに驚くパターンは多いですが、美しさ方向に変貌すると、それはそれで人間の脳が混乱するのだと知った出来事でした。
■年に数回会う友人の夫を「知らないおじさん」だと思った理由
Tさんは、大学時代から仲の良い友人Aさんと、卒業後も年に数回、一緒にランチをしたり旅行に行ったりと長く付き合っています。Aさんの夫であるBくんも同級生で、同じサークルに所属していたため、学生時代はよく一緒に遊んでいました。ただ卒業後、Bくんはは仕事で各地を転勤していたため、20年近く顔を合わせることはありませんでした。
ある日、Aさんがスマホで家族写真を見せてくれました。「息子たちも大きくなったのよ」と微笑むAさん。画面にはAさんに似た大学生と、Aさんの夫に似た高校生の二人の子ども、そしてAさんの隣に並ぶ見知らぬおじさんが写っていました。
Tさんは思わず「この人、誰?」と尋ねそうになりました。その写真にはAさんのお母さんも一緒に写っていたので、一瞬、会ったことのないAさんのお父さんかと思ったのです。しかし、Aさんのお父さんは彼女が学生時代に他界されたことをTさんは知っています。ということは……まさかこれがBくん?
脳内に衝撃が走りました。大学時代は身長も高く、がっしりしていて、目鼻立ちのはっきりした明るいイケメンだった彼。しかし写真の男性は、髪が薄くなり白髪も混じり、姿勢がやや猫背で、顔色もくすみがち。全体的にしぼんでいるように見えたのです。加えて、二人の息子が成長しているためか、彼の存在が小さく写っているようにさえ感じました。
同じ年齢のはずなのに、ここまで変わるものかと唖然としました。もちろんTさん自身も老けたでしょうし、Aさんも年相応になっています。しかし、かつてイケメンではつらつとしていた同級生が、自分の父親世代のように見えるという事実に、複雑な思いがこみ上げました。
■時間は誰にとっても平等だけれど…
Tさんが改めて感じたのは、時間の経過は誰にとっても平等だということです。ただ、その平等さの現れ方は千差万別です。整形や美容で若返る人もいれば、自然の摂理に身を任せ、厳しい年月をそのまま老けとして刻んだ人もいます。
人は見た目ではないとわかっていても、あまりに変貌すると記憶の照合が追いつかず、混乱してしまいます。同窓会や久しぶりの集まりは、思い出を懐かしむ場であると同時に、現実を突きつけられる場でもあるのだと実感しました。
懐かしい人に久々に会うとき、相手の変化に驚くと同時に、自分も同じように年月を重ねていることを思い知らされます。変わらないのは記憶の中の彼らだけ。現実は、いつも想像を超えているのかもしれません。
◇ ◇
あなたも久しぶりに会った友人や知人に、思わず「誰!?」と驚いた経験はありませんか?
▽埼玉県・40代
学生時代コギャルブームで、バリバリの日焼けメークをしていた同級生に何十年ぶりに会ったら、髪型も服装もギャル風から色白着物美人になっていて、全く誰だかわかりませんでした。
▽大阪府・40代
幼稚園時代の同級生がSNSで自身の子どもの写真を載せていて、当時私が遊んでいた同級生にそっくりで微笑ましく見ていたら、たまに写りこむ本人は整形をしたのか、まったく当時の面影がなく、本人と気づけませんでした。
▽千葉県・50代
小学校の同窓会で、クラスのムードメーカーで笑顔が可愛かった男子が、スキンヘッドですっかり強面になっていて、声をかけづらかったです。
▽福岡県・40代
SNSでしかつながっていない小学校時代の友人がいるのですが、載ってる写真の、ずっとご両親かと思っていた白髪混じりでメガネ姿の人が、本人と知ってびっくりしました。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)