首都圏で「新築狭小戸建」が増加傾向 ※画像はイメージです(VVVF/stock.adobe.com)
首都圏で「新築狭小戸建」が増加傾向 ※画像はイメージです(VVVF/stock.adobe.com)

近年、首都圏において新築・中古を問わずマンション価格の上昇が続くなか、「狭小戸建」への注目が高まっています。株式会社LIFULL(東京都千代田区)が運営する不動産・住宅情報サービス『LIFULL HOME'S』がこのほど発表した「狭小戸建の供給戸数とシェア」に関する調査によると、同サービスに掲載された首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の狭小戸建のシェアは2020年から5年で「約2.7倍」になっていることがわかりました。

調査は、2020年~2025年5月の期間に同サービスに掲載された首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で分譲された新築一戸建て物件のうち、敷地面積60平米未満のいわゆる「狭小戸建」のデータをもとに分析したといいます。

首都圏における新築一戸建てのうち敷地面積が60平米未満の「狭小戸建」の掲載戸数を調べたところ、2020年の1011戸から2025年(5月時点)には2053件と戸数がほぼ2倍に、掲載割合は1.2%から3.2%と約2.7倍と、少しずつ増加していることがわかりました。

2020年から2025年5月までの狭小戸建の「掲載件数」をエリア別にみると、最多となったのは「川口市(埼玉県)」(626戸)でした。

以下、「大田区」(419戸)、「足立区」(401戸)、「葛飾区」(396戸)と都内の区が続き、首都圏3県では、「市川市(千葉県)」(334戸)や「川崎市幸区(神奈川県)」(320戸)、「さいたま市南区(埼玉県)」(303戸)など、より東京方面に近接した立地で都心へのアクセスがよく、平均坪単価が100万円台のエリアがTOP10にランクインしています。

また、「平均掲載価格」については、東京都では、狭小戸建よりも一般戸建が上回っており、なかでも東京23区は2022年以降、狭小戸建は「7000万円台」で推移している一方、一般戸建は上昇し続け2025年には「1億円台」を突破し、価格の差が広がっています。

特に神奈川県では一般戸建の価格が概ね上回り、狭小・一般戸建ともに「4000万円半ば」で推移、埼玉県と千葉県では狭小戸建が一般戸建を上回り千葉県の狭小戸建は「4000万円台」で、市川市などの「より東京方面に近接した立地」で供給がみられることから、狭小戸建は、東京都内もしくは隣接したエリアにほぼ特有の居住形態であることがうかがえました。

「敷地面積」や「延床面積」の推移をみると、2020年以降、物件価格が上昇している東京23区において狭小戸建の敷地面積は平均55平米前後で安定して推移する一方、延床面積は90平米前後を維持。また、「平均階数」は2.9階で、高さを重視して居住スペースを確保できていることがうかがえました。

これに対して、一般戸建の敷地面積は70~75平米台、延床面積は約100平米前後で推移しており、階数は2.6~2.7階と狭小戸建よりもやや低めなっています。

調査を実施した同サービスは、「狭小戸建は、一般戸建よりも土地取得コストを抑えながら、3階建てを活用することで延床面積の確保が可能です。都市部で『駅近・利便性重視』『予算を抑えたい』といったニーズを持つ生活者にとって現実的な住まいの選択肢の一つです」とコメントしています。