桜色にそまる指先(画像提供:フジタさん)
桜色にそまる指先(画像提供:フジタさん)

 90歳の誕生日を迎えた施設で暮らす祖母にネイルをしてあげた…という投稿が「X」で大きく注目を集めました。桜貝のようなピンク色に塗られた爪先を写した写真から、祖母と孫のあたたかい交流が伝わってきます。

「認知症で施設に入ってる祖母に施したネイル。私のことを忘れても、自分にこうしてくれた誰かがいることを爪先を見るたびに思い出せますように。少しでも心が華やぎますように。
おばあちゃん、90歳の誕生日おめでとう」

こんなメッセージとともに写真を投稿したのは「フジタ」(@FluoriteCa)さんのアカウントです。ポストには記事執筆時点で「13万」もの「いいね」がつき、たくさんの祝福の声が寄せられました。

「はじめまして。 おばあ様のお肌の色にとても良く合うネイル! 指先からおばあ様の喜びが伝わってくるようで」
「おばあちゃん お誕生日おめでとうございます… ネイルすごい似合ってますよ」
「わ!美しい指!そして爪 気分あげあげ!おめでとうございます」
「桜貝のようなネイル。 色白で、お綺麗な手ですね。 通りすがりですが、おばあさまお誕生おめでとうございます。」
「はじめまして。きれいな桜色のネイルですね。手の皮膚の白くて、白ピンクがよく映えること。 お誕生日、おめでとうございます」

 フジタさんは万が一、おばあ様の健康状態が急変した際、ネイルをすることでチアノーゼの観察や酸素濃度の測定が正確にできなくなるような事態を防ぐため 「リムーバー不要で除去できるピールオフジェルネイル」を使用し「シールのように剥がせるので、体調悪化時など必要であれば除去してほしい、ということを施設のスタッフの方には伝えて許可はいただいていた」と事前の配慮をしたことを引用ポストにて伝えています。

 フジタさんにおばあ様の指先にネイルを施してあげた時のことをお聞きしました。

■「あんた、温かい手やねぇ」

--おばあ様はすなおに手をさし出してくれましたか?

素直にこちらに手を委ねてくれました。「あんた、温かい手やねぇ」と言われたことが印象に残っています。こうしたスキンシップは普段照れくさくてなかなかできないので、良い機会だなぁと思いました。

--1本、1本、ネイルをしてあげながら、ご自身はどんなお気持ちに?

人にネイルをする機会はほとんどないので緊張しましたが、いざ完成してみると祖母の白い指先にピンクのネイルはよく映えていて、思いのほかよくできた!と達成感がありました。

--話題になった投稿に続けて「沢山の人に祖母を褒めていただいている…!そうなんです、色白でとても綺麗な手なんです 今週末祖母に会いに行ったときに伝えます」とおっしゃっていましたね。

喜んでくれるかと期待して報告したのですが、SNSという概念が祖母にはピンとこないのか、へぇ…と薄い反応でした(笑)。ただその報告のときにまたネイルをやり直したのですが、「前もこうやってしてくれたね」と言ってくれたのは「覚えててくれたのかな」と嬉しかったです。

■遠くの施設に行く前に

 「あの投稿のあと祖母は遠くの施設に移ってしまったので、結局祖母にネイルを施せたのは3回だけになってしまいました。少し淋しいですが、引っ越しの前に、良いプレゼントができたと思います」というフジタさん。おばあ様にネイルをしてあげることで、フジタさんはおばあ様からずっと心の中に残り続ける思い出を受け取ったのですね。

 さらにフジタさんは残りの2回のネイルの画像を編集部に送ってくれました。

 「また、こうやってニュースなどで取り上げていただき、祖母のことをいろんな方に知っていただけるのはとても嬉しいです。ありがとうございました」とフジタさんは感謝の気持ちを話しています。

(まいどなニュース特約・山本 明)