退職を検討しながらも踏みとどまる理由は? ※画像はイメージです(polkadot/stock.adobe.com)
退職を検討しながらも踏みとどまる理由は? ※画像はイメージです(polkadot/stock.adobe.com)

転職活動が身近な選択肢となった一方で、退職を検討しながらも踏みとどまる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。社員クチコミサイト『OpenWork』を運営するオープンワーク株式会社(東京都渋谷区)が、このほど発表した「今の会社を辞めない理由に関する調査レポート」によると、今の会社を辞めない理由、退職を検討する理由いずれも「給与・待遇面」が最も多くなりました。

調査は、同社運営のコミュニティサービス『OpenWorkキャリア』にて2025年8月1日~5日に回答した同サービスユーザー632人のデータを集計、また、投稿されたクチコミ11万9120件を集計したものです。

その結果、「今の会社を辞めない一番の理由」は、「給与・待遇面」(30.5%)、続いて、「ワークライフバランス」(18.2%)、「人間関係・社風」(7.4%)という結果になりました。

これを年収別で見ると、年収800~1199万円の層が「給与・待遇面」を一番の理由としてあげる比率が41.0%と高く、年収400~799万円の層では「給与・待遇面」(17.8%)よりも「ワークライフバランス」(19.3%)の良さが若干上回る結果となっています。

【今の会社を辞めない一番の理由についてのクチコミ】
▽役職が付いてない職位でも同年代の上位10%程度の収入があり、不当な残業も無い。チームのビジネスモデルや働き方に疑問があれば社内異動すれば解決するケースも多く、特段転職をする理由が無い(30代男性/年収970万円)
▽時間休・有休・リモートが取り放題(当日申請でもOK)だから。子育て中なので、学校関係(行事・面談・PTA)・各種送迎・病気・配偶者出張等の対応をしながらフルタイムで働くには、今はこの環境でないと無理(40代女性/年収500万円)

一方、現職社員が考える「退職検討理由」でも「給与・待遇面」(33.93%)が最も多く、次いで「ワークライフバランス」(18.52%)、「仕事へのやりがい」(16.56%)が続き、働く人々にとって給与・待遇は、今の会社を辞めない理由にもなり、退職を見据える理由にもなる、極めて重要な要素であることがうかがえました。

また、2022年以降に同サイトの「退職検討理由」欄に投稿されたクチコミの頻出単語を現職社員・退職済社員それぞれで可視化したところ、現職社員では「給与がとにかく低いため。また、新卒の給料は年々上がっているのに対し、ベースアップがないため新卒と給料があまり変わらない点も不満」(エンジニア、現職、システム開発)といった「給料の低さ」や「成果を上げても変わらない」等の待遇に関する不満が散見されました。

退職済社員でも「低い給料」に関する単語は登場したものの、具体的な不満内容は現職社員のほうが多く挙げている様子です。一方で、「他の企業と比べ恵まれている」や「仕事量の少なさ」といった単語も登場し、現職に踏みとどまっている様子も垣間見られました。

一方、退職済社員では、「明らかに人を大事にしていない。会社の財務状況も赤字で、人件費を真っ先に削るために中途から新卒にシフト、中途は辞めて欲しい雰囲気が出てきたので退職した」(営業、退職済み、人材サービス)など、「弱い人間が切り捨て(られる)」「尊敬できる同僚がいない」「決断力のない上司」「経験しなくてよい仕事」「監視体制」といった、会社組織・人間関係に対する不信感をあげる声が目立ったほか、「AIの発展で厳しい業界(になる)」「他社の条件が良い」と、退職を決断するに足る理由を持って離職した様子もうかがえました。

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これらの調査結果を踏まえて同社は、「不安・不満の段階で“リアルな声”に目を向けることは、組織課題の発見や、離職防止のヒントを得る上で非常に重要です」指摘。

そのうえで、「待遇面への納得感を確保しつつ、社員の声に耳を傾け、働きがいやキャリア成長、組織風土・人間関係の良さといった、多様な”辞めない理由”を一つでも増やす努力をすることが、社員定着の鍵ではないでしょうか」と述べています。