100円に値下げされていたという、ぐいちゃん/飼い主さん提供
100円に値下げされていたという、ぐいちゃん/飼い主さん提供

ホームセンターの片隅で、100円の値札がつけられていた一匹の小さなミドリガメ。その命が、一人の少年と共に21年もの歳月を歩み、かけがえのない家族になる物語がYouTubeに投稿され、感動を呼んでいます。

投稿したのは、YouTubeチャンネル「なっつぼん-家族は猫亀猫-」を運営するなっつぼんさん(@neko_natsubon)。中学生の時に出会ったミドリガメの「ぐいちゃん」との絆を描いた動画には、「100円で売られていた亀がこんなに長い間しあわせに暮らしているなんて奇跡」「出会いから現在までのお話に感動しました」といったコメントが相次いでいます。

なっつぼんさんとぐいちゃんの出会いは、今から21年前に遡ります。当時中学生だったなっつぼんさんは、「カメを飼ってみたい」という長年の夢を叶えるため、ホームセンターを訪れました。そこで出会ったのが、1000円から100円に値下げされていた、小さなミドリガメのぐいちゃんでした。

幼い頃からカメの飼育本を読み込むほど、カメへの想いが強かったなっつぼんさん 。その日から、少年と小さなカメの長い物語が始まりました。

なっつぼんさんの愛情を一身に受けて育ったぐいちゃんは、人懐っこい性格になりました。なっつぼんさんは、特に印象深い思い出として高校時代のエピソードを挙げます。「当時、ぐいは水槽と自室を自由に出入りできるようにしていて、ぼくが帰宅すると玄関まで出迎えてくれたことがあり、嬉しかったです」。

ごはんの時間になると人の後を追いかけておねだりをするなど、その行動はまるで家族の一員のよう。21年の時を経て、ぐいちゃんの甲羅の長さは25センチにもなりました。なっつぼんさんは「大きくなることは事前に調べていたので想定内。大きく成長してくれて嬉しいです」と、その成長を喜びます。

なっつぼんさんが大学進学で実家を出ると、一時期ぐいちゃんと離れて暮らすことになります。しかし、社会人になり一人暮らしが落ち着くと、なっつぼんさんはぐいちゃんを実家から迎え入れ、再び一緒の生活をスタートさせました。

離れていた時期も、たまに帰省すると「ぐいが走り寄って来てかわいかった」と語るなっつぼんさん。その絆が途切れることはありませんでした。

現在、なっつぼんさんは結婚し、奥さんと、そしてハチワレ猫の「なっつぼん」、茶トラ猫の「はる」と共に暮らしています。本来、肉食動物の猫とカメの同居は推奨されていませんが、「お互いに喧嘩することなく平和に過ごしています。たまに一緒に寝ていることもあります」と、種族を超えた穏やかな日常を明かします。

家族の絆は深く、なっつぼんさんの結婚式には、ぐいちゃんたちもパネルで“出席”したそうです。

自身の経験から、なっつぼんさんはカメの飼育を検討している人へ「自分ひとりの独断ではなく、親や兄弟、夫婦、家族に許可をもらったうえで飼うことをオススメします」とアドバイスします。自身も、留守中に親に面倒を見てもらった経験が何度もあるそうです。

最後に、ぐいちゃんへの思いをこう語ります。

「ぐいと過ごした21年という年月はとても長いです。これからもケガなく、健康に長生きしてほしい。一生一緒に過ごしていきます」

100円で出会った小さな命は、今も昔も変わらず、なっつぼんさんの人生の中心にいます。