視覚障碍者が白杖を持つ意味、どれだけ知ってますか?
視覚障碍者が白杖を持つ意味、どれだけ知ってますか?

視覚障碍者が白杖を持つ意味がSNS上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは

「白杖(はくじょう)を持って、スマホを見ている人に 『見えてるんじゃない?』『うそつきやん』という人がいるそうです。 もちろん、中心部分しか見えていなくて、その視力も良くない人もいます。しかし、全員が全く見えていないわけではありません。でも白杖は必要です。白杖には大きく3つの役割があります。

1.センサー 白杖で触った感覚で、段差などの情報を集める
2.バンパー 路面上にある障害物を発見する
3.シンボル 自分に見えづらさがあるということを周りの人に伝える機能

白杖について、正しく理解していただけますと、幸いです。」

と紹介した日本眼科学会専門医でよこすか浦賀病院医長の栗原大智さん(@doctorK1991)の投稿。

一概に視覚障碍と言ってもさまざまな段階があり、白杖を持っているからと言って全員がまったく目が見えないというわけではない。また白杖を持っている理由も各人さまざまなものがあるのだ。

栗原さんにお話を聞いた。

ーー今回の投稿に込めた思いをお聞かせください。

栗原:実は僕も白杖についての詳細は眼科医になって初めて知りました。その道具の持つ意味がわかれば、周りに同じ状況の人がいた時に適切な配慮ができるのではと思い投稿しました。

ーー投稿に大きな反響がありました。  

栗原:実はこのポストは何度か投稿しています。なぜ今回に限りバズったのか分かりません。しかし、周知するためには何度も啓発することが大切だということがよく分かりました。

◇ ◇

SNSユーザー達から

「車いすとかもそうですよね。 お手洗いのために立ったら『歩けるじゃん嘘つき』みたいなのあります。 色々な補助器具がある中で、それを不便だけど使用している人が『うそつき』になることに納得できません。 メガネは全く見えないから使ってる?補聴器は?全部補うための器具であって嘘ではないですね」
「最寄りの駅で朝白杖持ったお姉さんが、猛ダッシュして駆け込み乗車してるの、何度か見かけます。 先日は階段一段飛ばしで駆け上ってた…まあ、いろいろなんだろうなとはいえびっくりします 」
「白杖は“見えない証明”じゃなく、“安全に生きるためのツール”。 見え方は人によって違うのに、偏見はひとつだけ。 そのアンバランスこそ、社会の課題なんだよな。 疑う前に、合図に応えられる社会であって欲しい」

など数々の共感の声が寄せられた今回の投稿。障碍を持つ人への世間の理解が深まってくれることを願いたい。

なお今回の話題を提供してくれた栗原さんは今年4月に著書「眼科専門医が教える最新知識 スマホ時代の「眼」メンテナンス」(高橋書店)を上梓。目を酷使する現代に必要な眼のメンテナンス方法をわかりやすく紹介しているので、ご興味ある方はぜひ手に取っていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)