さすが髭さんの母(B.B軍曹さん提供)
さすが髭さんの母(B.B軍曹さん提供)

さりげない優しさに触れた瞬間、心がふっと温かくなることがあるでしょう。わざとらしくない自然な心遣いほど、長く記憶に残るものです。Instagramで漫画を投稿しているB.B軍曹さんも、そんな体験が含まれた義母とのエピソードを語り、大きな反響を呼んでいます。

それは結婚前、夫である髭さんの実家に帰省したときのこと。夜、お風呂に入るときにB.B軍曹さんは「彼氏の家で自分の下着を洗濯機に入れるのは恥ずかしい」と迷っていました。すると髭さんの母親が洗濯ネットを持って現れ、「洗濯物はこの中に入れて。洗い終わったらネットごと渡すから」と声をかけてくれたのです。

B.B軍曹さんは、思わず気を遣わせてしまったことを謝ると、義母はにっこり笑って「うちはみんなそうしてるから」と答えてくれました。そのさりげない配慮に触れ、B.B軍曹さんは「夫の優しさは義母譲りなのだ」と感じたのでした。そこで同作について詳しい話を、作者のB.B軍曹さんに聞きました。

■思いやりは想像力「優しくしよう」よりも「想像してみよう」

ー他にもお義母様のエピソードがあればぜひ聞きたいです!

以前、私が少し風邪気味だったとき、義母が「これ、喉が痛いときに私がよく飲むの」と温かいハーブティーを差し出してくれました。そのときも「私も飲むから一緒にどう?」と声をかけてくれて。

もし「あなたのために用意しました」って言われていたら、かえって気まずかったと思うんです。でも義母はそう見せずに、自然に優しさを届けてくれるんですよね。

義母は「うちはこうしてるから大丈夫」「みんなそうしてるよ」と言葉を添えて、特別扱いではなく自然な流れで気を配るのが上手いんです。相手の気持ちを大切にしつつ、過剰な気遣いでプレッシャーを与えない。まさに優しさのプロだなと毎回思います。

実は、11月7日発売の新作漫画『全てのネガティブをプラスに変える夫 髭~人生満点じゃなくてもはなまるだ~編』にて、書籍限定の新作書き下ろしエピソードとしても描いています!髭ママファンの方にも、ぜひ読んでいただきたいです(笑)

ー髭さんがお義母さんと似ているなと感じるところはありますか?

実は、すごく似てるなと感じるところがたくさんあるのですが、一番感じるのは、「気づかれないくらい自然に気を遣う力」です。髭は「大丈夫?」と声をかけるより先に、家事を静かに終わらせてくれたり、食事の時間を私の予定に合わせて調整してくれたりします。しかも「やっておいたよ」とも言わないから、あとで気づいて「あれ?」って驚くこともしょっちゅうで(笑)

義母も同じように、相手に「やってあげた感」を与えない優しさを自然に実践しているといいます。「親の背中を見て育つ」という言葉の通り、髭の気配りの背景には義母の存在があったのだと納得しますね。

ー「思いやり=想像力という考え方に行き着いた経緯があれば知りたいです!

以前は、思いやりって優しさや気遣いのことだと思っていました。でも義母や髭を見ていて、実はその根っこには『想像力』があるんだと気づいたんです。「これを言ったら相手はどう感じるかな?」「自分が同じ状況だったらどう思うかな?」と少し想像するだけで、自然な気配りが生まれるんですよね。

しかも、想像力のある人はその気遣いを「気遣いっぽく」見せない。日常にすっと紛れ込むように優しさを差し出して、でも安心感はきちんと伝わる。本当にすごいなと思います。

私も「優しくしよう」と気張るより、「ちょっと想像してみよう」と考えるようになりました。まだまだ義母や髭の域には達しませんが、少しずつ真似していきたいなと思っています。

(海川 まこと/漫画収集家)