自転車専用レーンなどインフラ整備も必要(photoACより「FreeBackPhoto」さん撮影、イメージ画像)
自転車専用レーンなどインフラ整備も必要(photoACより「FreeBackPhoto」さん撮影、イメージ画像)

2026年4月から、自転車の交通違反に反則金(いわゆる“青切符”)が導入される。

対象となる違反は113項目にのぼり、金額は3000円から1万2000円。SNSでは「もう自転車乗れない」「厳しすぎる」といった声が相次いでいる。

■ 「歩道も走れないの?」 投稿に共感と困惑の声

話題のきっかけとなったのは、SNSでお金や生活情報を発信する「ひいらぎ」さん(@hiiragi2280)の投稿だ。

「来年から実質的に自転車乗れなくなるの鬱すぎる。
・並走:3000円
・2人乗り:3000円
・歩道運転:6000円
・ながら運転:1万2000円
・イヤホンを付けながら運転:5000円…」

投稿には1万件以上の「いいね」が付き、「歩道を走らなきゃ危険な場所もある」「厳しすぎる」「でもルールは守るべき」など賛否が拮抗した。投稿したひいらぎさんは、ニュースを見て「率直に厳しい」と感じ、注意喚起の意味でポストしたという。

「日常的に自転車は使わないのですが、リストを見て“どこからが違反なのか”があいまいに感じました。とくに“歩道運転:6000円”という項目は、地域によって歩道と車道の境がわかりづらい場所も多い。安全のために歩道を走るケースもあるのに、一律で罰則対象になるのは現実的じゃないと思いました」

■「歩道運転だけは…」現場の“リアル”が噴出

リプライ欄でも、共感や不安の声が相次いだ。なかでも印象に残った意見として、ひいらぎさんはこう話す。

「『歩道運転だけはどうにかならんもんかね。自転車用の道がない中で車道を走るのも怖いし、運転手も怖いでしょ』というリプがありました。まさに現実だなと感じました」

また、実際に車を運転していても「自転車が車道に出ることへの怖さ」を感じる場面があるという。

「規制が強まるのは理解できますが、環境が整っていない場所で一律に取り締まると、不便さや不満を感じる人も出てくると思います」

■「命を奪える道具」でもある 利用者に求められる意識

制度そのものを否定するつもりはないと、ひいらぎさんは冷静に語る。

「自転車も便利な反面、命を奪える道具であることを忘れてはいけません。だからこそ、取り締まりよりもまず“正しい知識の啓発”が大切だと思います。多くの人が“なぜ罰則なのか”を理解できるような発信を行政に期待しています。」

■必要なのは「取り締まり」より「インフラ整備」

今後に向けた要望を尋ねると、ひいらぎさんは「ルールの明確化と環境整備」を挙げた。

「歩道運転や点検不良など、“何が違反なのか”の基準を明確にしてほしい。そのうえで、地域ごとの事情に合わせた制度やインフラ整備を進めるべきです」

地方では自転車専用レーンが整備されていない道路も多く、「守りたくても守れない」という現実がある。

「一律ではなく、地域の事情を考慮した柔軟な運用を望みます」 

■「安全に走れる場所を」 制度と現実のギャップ

自転車の“青切符制度”は、事故抑止を目的とした取り組みだが、利用者からは「制度の前に環境を整えてほしい」という切実な声が上がっている。

SNSが浮き彫りにしたのは、“正しいルール”と“現場のリアル”のズレだった。

2026年の制度導入までに、私たちは改めて考える必要がありそうだ。「安全に走れる場所」は、誰のために、どう整えるのか-。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)