あの「ぽんせん」が1年2か月ぶりに製造再開!(マルサ製菓提供)
あの「ぽんせん」が1年2か月ぶりに製造再開!(マルサ製菓提供)

2025年9月末、マルサ製菓(兵庫県朝来市)が1年2カ月ぶりに「ぽんせん」の製造再開を発表した。

ぽんせんは関西地方を中心に広く愛されている銘菓だが、2024年7月に製造機械の老朽化のため生産を中止。2025年2月の営業再開を目指していたが、なかなか製造機械の新調がうまくいかず一時は経営危機に陥っていた。

Xの公式アカウント(@marusaseika_pon)が2025年7月に投稿した

「現在、弊社かなりピンチです。 5年ほど前からいろいろあったのですが現在が1番のピンチです。 1年前から生地を焼く機械の老朽化で入れ替えをしており、休業しております。 2月に完成予定だったのですが、オリジナルの機械の為、圧力がうまくかからず、現在メーカーが調整しております。 休業にかかる資金は融資でお借りしましたが、現在は尽きました。 現在は社長が個人で借りたお金を全て会社に注ぎ込みなんとか会社の維持費を賄っています。私も家族の生活費と会社の維持費を稼いでいます。 待ってくださってるお客さんからは連日のお電話をいただき、取引先の会社さんもずっと待ってくださっております。なんとか、営業再開させたい。なんとか頑張りたいと思ってます!」

という現状報告は大きく拡散され話題に。

当時、取材に対し同社取締役の佐賀建斗さんは

「2021年5月に母が脳幹出血で倒れ、大学を休学して仕事を手伝うようになりました。当時、会社は2019年に発生した火事やコロナ禍の影響で慢性的な赤字体質。SNS発信やクラウドファンディングなどに取り組み、どうにか業績改善の兆しが見えたのですが、そんな矢先に機械が駄目になってしまいました。」

「機械の新調にかかる費用はおそよ2千万円。それは金融機関から融資していただくことができましたが、ぽんせんの製造機械は創業者が手焼きの魅力を再現できるよう試行錯誤を重ねた非常に繊細なもの。調整がなかなかうまくいかず、売上は上がらないのに固定費だけが出て行っている状況です」

と胸中を語っていた。

そんな艱難辛苦の末に発表された今回の朗報。製造機械の調整はまだ完璧ではないが、どうにか出荷できる段階までこぎつけたということだ。

マルサ製菓のぽんせんは1960年に佐賀さんの祖父・髙橋保清さんが創業して以来、素材にこだわった健康的なお菓子として支持されている。小麦粉、醤油、水だけで作るというシンプルさゆえの素朴な味わいと、手焼き風の絶妙な食感が魅力だ。

製造再開にあたり前出の佐賀さんは

「休業中はお客様をはじめ、たくさんの方にご迷惑をおかけいたしました。申し訳ございませんでした。その中で、たくさんの人に助けて頂き、なんとかまたぽんせんを製造できるようになりました。これからも10年、20年、それよりも長く変わらぬ美味しさ味を届けられるよう従業員一同頑張らせていただきます。どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします」

とやる気満々の様子。

ぽんせんは朝来市特産の岩津ねぎを用いた「サラダ岩津ねぎ味」、韓国産の唐辛子を用いた「ピリ辛一味」も人気。10月末までは限定発売となり、ネット通販も品薄だがご興味ある方はぜひ一度味わっていただきたい。

株式会社マルサ製菓関連情報
本社所在地:兵庫県朝来市石田1185

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)