「クッキーの形もここまで来たか!」と二度見してしまうのが、この「卒塔婆クッキー」だ。名前の通り、故人の供養に立てる卒塔婆をかたどったクッキーで、そのディスプレイ方法も極めてユニーク。骨壺を納める「骨箱」(未使用品)に陳列されている。この奇抜なセンスのクッキーを生み出したのは、異世界感満点の古物店「奇貨屋白昼夢」。店主の稲葉崇さん、由夏さん夫妻に話を聞いた。
■オリジナルの商品が欲しいね
卒塔婆(そとば/そとうば)とは、故人を供養するために墓の後ろなどに立てられる縦長の木板だ。これを見事に再現した「卒塔婆クッキー」を販売するのは、東大阪市にある奇貨屋白昼夢だ。発売のきっかけは「思い付き」だそうで、何のコンセプトもないという。
「もともとは『牛鬼』の妖怪クッキーを置いていました。今年になって、うちのお店らしいものが欲しいよねという話が出て、ふと思いついたのが卒塔婆だったのです」と由夏さん。
それからは、あれよあれよという間に卒塔婆の型ができ、フォントの指定もして、今年8月31日から販売を開始した。商品は「レギュラーサイズ(12.5cm×1本入り)」と「ミニ(8.5cm×3本入り)」の2種類。
クッキーの表には「南無阿弥陀佛」と刻印されていて、お店のXには「不謹慎なクセに身体に悪い物は一切使われていない発酵バタークッキー」と投稿されている。原材料はフランス産の薄力粉に発酵バター、竹炭などで、添加物の類は使われていない。発酵バターの香りが立ち、優しい味がする。
1日10個程度売れるという「卒塔婆クッキー」は、どんな人が買っていくのだろうか。
「お誕生日のケーキに立てたという話を聞きました。それと、まだ実現はしてないのですが、法事のときにお茶請けに使いたいというペットの葬儀屋さんがいます」
認知度はこれから広げていきたいそうで、いずれアイデアを思い付いたら、オリジナルのグッズが増えるかもしれないという。
■赤い鳥居と天狗の面 異世界感満点の店内
奇貨屋白昼夢は、東大阪市にある商店街「ブランド~リ ふせ」に店を構える。入口は一見すると戸建て住宅の勝手口のようなたたずまいだが、確かに看板が出ている。
店内は壁、天井、床が赤で統一され、しかも赤い鳥居の上から、天狗の面が店内を見下ろして独特の雰囲気を醸している。扱っている商品は小物類、アクセサリーのほか、とあるお寺で彫られたお地蔵様、医療器具、キツネの顔の皮などなど、異世界感満点のアイテムが並んでいる。
稲葉さん夫妻が店を始めたきっかけは、コレクションで集めた品物が増えたからだという。当時住んでいた家の大家さんに許しを得て、1階部分を土日だけ店として開放した。8畳くらいのスペースに、昭和レトロ雑貨やロック系の品物が多かったそうだ。その後、阿倍野区昭和町に移り、現在の場所へ移ったのが昨年秋のこと。今の店舗は1階と2階を店舗、3階を倉庫にしている。
入口で、気になる表示が目についた。
「小学生だけでお店に入ることはきんしです」
その理由を、崇さんは次のように話す。
「子どもの目には珍しい商品が並んでいますから、手に取っているうちに壊してしまうんですよ。とくに人形の目を動かしているうちに壊れてしまうことがあったり、ちょっぴりエッチな、子どもには見せないほうがよい商品もあったりしますのでね。保護者同伴で来てもらうことにしています」
そんな「奇貨屋白昼夢」から生まれた「卒塔婆クッキー」は、各サイズ税込み500円。繊細で割れやすいため通販はしておらず、販売は店頭のみとのことだった。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

























