ハプスブルグ家に生まれ18世紀のオーストリアに“女帝”として君臨したマリア・テレジア。
今、SNS上ではそんな彼女が愛したと言われるスープが大きな注目を集めている。
「マリア・テレジアが毎日7~8杯飲んでいたという『手間の掛け方が1杯2000円行きそうなラーメン屋のスープぽいやつ』ことオーリオを飲んできました」
と件のスープを紹介したのは漫画編集者の荻野謙太郎さん(@gouranga_)。
30種以上の食材を用いるそうで、しかもその3分の1が肉!さすがに上品ではあるが、非常に強みある味わいで、萩野さんはこれを「スープのガワをかぶったエナドリだこれ!」と評す。萩野さんに話を聞いた。
ーーこのスープを召し上がった店は?
萩野:南青山の外苑前にあるオーストリア料理のお店「EWIG(エーヴィック)」です。仕事で調べ物をしていた際にたまたま 「ご当地オーストリアですら作る者が絶えた、マリア・テレジア愛飲したというスープを出すお店がある」 という情報を得、食道楽の友人を誘って予約しました。
--オーリオのお値段は?
萩野:アラカルトでデミタスカップ1杯分を追加注文したのですが、100mlで5000円でした。
ーー召し上がった感想をあらためて。
萩野:実際に飲んで最初に思ったのは 「日に7~8杯これを飲むのは、単なる嗜好を越えた生き抜くための智慧だな」 ということです。このスープの本質は「カップ1杯でエネルギーをチャージできるカロリーの暴力」。子供を16人産んだエネルギッシュな女帝の治世を影で支えた名脇役と言えるでしょう。
30種以上の食材を煮込んでいるのに濁りの無い、深い琥珀色のスープ。長時間の加熱で生まれる、香味野菜と肉が複雑に絡み合った食欲を誘う香り。澄んだ見た目の印象を裏切る、どっしり重厚で「強い」としか言いようのない濃縮された肉のエキスの旨味。雑味が一切無く、後味に深い余韻を残すコク。比較的近いものを探すなら、市販のJALビーフコンソメを3倍くらい濃厚にしたものをイメージしていただくのがよいかと思います。
なお誘った食道楽の友人にもコメントを求めたところ 「スープなのに肉を食べている感じがした。強烈すぎて僕の舌では根菜等の味を感じられなかったので、リベンジしたい」 とのことでした。
ーー投稿に大きな反響がありました。
萩野:マリア・テレジアは日本では非常にマイナーで、知っていたとしても「マリー・アントワネットの母親」程度の認知が普通です。今回の反響自体に編集者として興味を覚えました。
◇ ◇
SNSユーザー達から
「実際エナドリ的な感じで飲んでたらしいです。ただし肥満の原因でもあったとか。」
「20年で16人出産しながら政務もこなしだもんな。肉食ってるヒマも無え!お湯に溶かして持ってこい!的なパワーを感じる。」
「何なんだろうと思って調べてみたら、仔牛やらウサギやらと香草スパイスやらを炊いた、コンソメというか最近流行りのボーンブロスみたいな感じだった。そりゃ栄養価高そう。たくお産したのにご健康なだったのはそういうことなんだろうなー。」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。ご興味ある方はぜひ一度味わっていただきたい。
なお萩野さんによるとマリア・テレジアの出身のハプスブルク家は2025年に静かなブームを起こしつつあるそうだ。異例の発売前重版となった『地球の歩き方 ハプスブルク帝国』や12月に単行本1巻が発売予定の漫画『ハプスブルク家の華麗なる受難』等がおすすめということなので、要チェックだ。
荻野謙太郎さんプロフィール
フリーランスの漫画編集者。『とある科学の超電磁砲』『ニンジャスレイヤー』『戦争は女の顔をしていない』を立ち上げるなど、主にコミカライズを得意とする。お仕事随時募集中
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

























