10月15日。再び神戸地裁の101号法廷。被害者参加人として、涙ながらに語る伯母の意見陳述中、被告席の野津英滉(ひであき)が、机上に置かれていたペンを手に取った。ノートに何かを書こうとしたところで陳述が終わる。と同時に、野津の手も止まった。ほとんど反応しなかった野津が唯一、心の動きを見せた瞬間だった。
惨劇は本当に防げなかったのか。
公判に証人出廷した精神鑑定医の土居正典は、行政や福祉の支援が不足していたことを悔やむ。
10月15日。再び神戸地裁の101号法廷。被害者参加人として、涙ながらに語る伯母の意見陳述中、被告席の野津英滉(ひであき)が、机上に置かれていたペンを手に取った。ノートに何かを書こうとしたところで陳述が終わる。と同時に、野津の手も止まった。ほとんど反応しなかった野津が唯一、心の動きを見せた瞬間だった。
惨劇は本当に防げなかったのか。
公判に証人出廷した精神鑑定医の土居正典は、行政や福祉の支援が不足していたことを悔やむ。