実家で両親と同居を始めた女性が、“モノ屋敷”と化した家を片付けていたときのこと。母親との何気ない会話から「親子の時間の感じ方の違い」に気づいたというエピソードがYouTubeに投稿され、話題を集めています。
投稿したのは、実家での断捨離・片付けの様子を発信中のYouTubeチャンネル「【50代独身】あつこの穏やかに暮らしたい日々」(@atsuatsu-life)を運営する、あつこさん。「これ最近買ったのよ」と母が手にした物について、よくよく聞いてみると購入したのは10年も前だった…という”時間感覚のズレ”に関する投稿に、「私も《最近》って思ったことがよく考えると20年前だったりします」「古いものでも記憶は今のまま わかる気がする!」など共感の声が相次ぎました。
「実家が“モノ屋敷”になったのはもうずいぶん前からで、私が小学生の頃にはその気配がありました」
と話すあつこさん。母親は物をとても大切にする性格で、一度家に入れたモノは壊れるまで使い続けるタイプだったといいます。
「入ってきた分だけ出ていかない」というように、様々なモノが少しずつ増えていき、気づけば家の中がモノで溢れかえるようになっていたそう。しかし約1年前、あつこさんが実家へ戻ることを決めると、そこで転機が訪れます。
「両親との同居を始めようと実家に戻ったとき、“私の入るスペースがない”と気づいたんです。それが、片付けに本格的に向き合うきっかけでした」
実は母親も「どうにかしなければ」と感じていたそうで、ここから親子での片付けが始まることとなりました。「母はとても協力的。長年抱えていた“片付けられない”気持ちを共有しながら、一緒に少しずつ進めています。片付けはモノを減らすだけではなく、母の気持ちに寄り添う時間にもなっています」と、あつこさんは語ります。
■親子間の「時間の感覚の違い」にハッとする
そんな日々の中で、あつこさんがハッとした瞬間がありました。それが、母親の「これ、最近買ったのよ」という何気ない一言でした。
「母は『最近』と言っていたものの、よく聞いてみたら実は10年前のものでした。そのとき、親子の間にある“時間の流れの違い”を感じたんです。母にとっては10年前も“ついこの間”なのだと思うと、時間は誰にも平等に流れているのに…と時間感覚の違いが少し切なくも感じました。でもその違いから、母の視点や生き方、積み重ねてきた歳月を少し理解できた気がして、静かに胸が温かくなるような感覚もありました」
■片付けで大切なのは「納得してから手放す」
現在の片付けの進捗は、「ゆっくりだけど確実に前進中。床が見える範囲が広がってきて、少しずつ暮らしの形が整ってきました」とのこと。
「私が片付けで大切にしているのは『納得して手放す』ことです。モノには思い出や感情が結びついているため、それを無視すると空間は片付いても心にモヤモヤが残り、後悔することもあります。だから『モノも心もすっきりする片付け』を目指しています。判断基準は『今の暮らしに合っているか』。過去や未来ではなく、今の生活での役割を見極めるようにしています。
また、実家では同じモノがあちこちに散らばりがちなので、種類ごとに定位置を決め、使ったら必ず元に戻すルールを徹底しています」
今回の投稿には視聴者から共感の声が多く、「自分だけじゃなかったんだと思えてホッとしました」とあつこさんは笑います。YouTubeで動画を公開するようになったことで、モチベーションの維持にも繋がっているんだとか。
「誰かに見てもらえることで、『今日も少し進めよう』と思えるんです。母との関係も変わらず穏やかで、動画はその日々の延長のようなものです」
最後に、実家や親との向き合い方に悩む方に向けて、自身の経験を通じたアドバイスをあつこさんからもらいました。
「『焦らなくて大丈夫』と伝えたいです。片付けは単なる整理作業ではなく、親との静かな対話のようなもの。思い出や感情が詰まったモノをすぐに手放せないのは自然なことで、納得しながら進めることが大切です。
私も母との片付けを通じて、モノだけでなく心の整理や関係性の再確認ができています。うまくいかない日もありますが、『今日はここまで』と余白を持つことで続けられています。
片付けは暮らしを整えるだけでなく、関係性を見つめ直すきっかけにもなります。ゆっくりでも、寄り添いながら進めていけば、きっと何かが変わっていくはずです」

























