移動中のガス欠…どうすればいい? ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)
移動中のガス欠…どうすればいい? ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)

高速道路でのガス欠は、後続車の追突などの可能性があるため、迅速で適切な対処が必要です。会社員のNさん(30代男性)は、上司の運転で営業先へ移動中に高速道路で渋滞に巻き込まれガス欠となりました。

上司がJAFへ連絡を取り、高速道路交通警察隊(高速隊)が先に到着、安全な場所まで移動した後、JAFによる給油を受け最寄りのガソリンスタンドに向かいました。

このように高速道路でガス欠になったときの対処法はどうするべきなのでしょうか。JAF東京支部担当者に話を聞きました。

■もし高速道路走行中に燃料切れをおこしたら

ー走行中に給油ランプが点灯した場合どうすればよいでしょうか。

車の燃料残量警告灯が点灯した場合、一般的にはおおよそ50kmほど走行できると言われています。(※ただし、車種によって異なるため、取扱説明書の確認が必要です)

しかし、高速道路では「目的地はもうすぐだから大丈夫だろう」と油断しないよう注意が必要です。高速道路では予期せぬ事故や渋滞などにより、想定以上に燃料を消費する場合があります。

近くに営業時間中のガソリンスタンドが併設されているサービスエリア(SA)がある場合は、速やかに燃料を補給してください。最寄りの出口で降りて燃料を補給する選択肢も、トラブルを未然に防ぐためには有効です。

意外と知られていませんが、道路交通法では高速道路に乗る前に燃料を確認することが運転者の義務として定められています(道路交通法第75条の10第1項)。燃料切れを起こした場合、この規定に違反することとなり、罰則の対象となる可能性がありますので、十分注意してください。

ーもし高速道路で走行中に燃料切れになったら…

2024年度のJAFロードサービス高速道路出動理由TOP3によると、燃料切れはタイヤトラブルに次いで2番目に多い原因です。走行中に燃料切れが発生すると、加速が鈍くなり、エンジン音や排気音に異常が生じはじめ、その後エンジンが停止します。

高速道路の本線上で車が停止してしまうと、後続車による追突事故のリスクが非常に高くなります。本線走行中に少しでも車の不調や異常を感じた場合は、速やかに安全対策を講じ、安全な場所に避難することが重要です。

1.ハザードランプを点灯し、路側帯へ退避する
まずハザードランプを点灯し、周囲の車に異常を知らせながら減速してください。そして、路側帯がある場合はそこへ退避します(道路交通法第75条の8)。もし橋やトンネルなどで路側帯や避難帯がない場合は、左車線をゆっくり走行し、避難所がある場所や可能な限り広い場所まで車を移動させましょう。

2.停止を周囲に知らせ、二次被害を防止する
車の停止が完了したら、まず同乗者をガードレールの外側など安全な場所へ避難させてください。ただし、橋や高架など避難できる場所がない場合は、追突事故に巻き込まれないよう車よりも後方の安全な距離まで離れて待機してください。降車時には右側(本線側)から降りることは非常に危険です。運転手や後部座席右側の同乗者は、可能な限り左側(ガードレール側)から安全に降車してください。
乗員全員が安全に降車できたら、後続車からの追突を防ぐため、停止表示器材と発炎筒を車両後方50m以上の場所に設置してください(道路交通法施行令第27条の6)。もしもの緊急時に即座に対応できるよう、運転する車に備え付けられている発炎筒と三角停止板の場所を事前に確認しておくことをおすすめします

3.停止表示器材を設置後、速やかに安全な場所へ避難する
避難が完了したら、車の緊急停止を知らせるため、道路に設置されている「非常電話」を利用して道路管制センターに状況を伝えてください。非常電話は通常1kmごとに設置されており、トンネル内では200mごとに設置されています。非常電話を使用すれば、JAFのロードサービスもその場で呼ぶことが可能です。携帯電話を使用する場合は、「道路緊急ダイヤル(#9910)」や「110」に連絡し、現在の状況を通報してください。
携帯電話を利用する際は、現在地を正確に伝えるために道路名や路側帯端に設置されているキロポスト(道路の起点からの距離を100m毎に示す標識)の数字と向かっている方向、これらの情報を伝えることで迅速な対応が可能になります。また、必要に応じてJAF(#8139)や保険会社に連絡し、車の救援要請をおこなってください。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)