出産直後に子どもを預かってくれる産後ケア施設というものが存在している。しかし「利用するためのハードルが高い」「私はそこまでしんどくないかも」などと考えて、利用しないようにしている人は少なくありません。そんな中、犬石さんがX(旧Twitter)に投稿した『育児日記 産後ケア施設にショートステイしてきたレポ』が、約5000ものいいねを集め話題となっています。
犬石さんが滞在したのは、産後ケア事業の一環として運営される施設です。ミルクの時間以外は赤ちゃんを預けることができ、1泊2日でおよそ4,000円という手頃な料金ながら、栄養満点の食事や入浴など、充実したサポートを受けられます。
この施設に滞在することで、犬石さんは久しぶりに誰かが作ってくれた温かいご飯を味わい、ホッと一息つきます。しかし、ふと「今ごろ、子は何をしているかな」と気になってしまい、昼寝の時間にもつい写真を見返してしまうのでした。
その後、犬石さんは、久しぶりにゆったりとお風呂タイムを満喫します。子どもと一緒だとありがちな、放尿されるといったハプニングもありません。また入浴後は、余った自由時間を活かし漫画制作に励みます。ですが、やはり頭の片隅には子どもの姿があります。
ふと気づけば、自然と自分の子のもとへ足が向かってしまう犬石さんは「私も母親になってきたんだな」と、改めて“母としての自分”を実感しました。
漫画以外にも産後ケア施設について分かりやすく紹介されており、多くの反響を集めた同作について、作者の犬石さんに話を聞きました。
■自分の時間がほしいけど、離れると寂しい
ー産後ケア施設を利用しようと思ったきっかけをを教えてください。
好きな漫画家さんが利用していたと知り、興味を持ったのがきっかけです。はじめは「産後の身体を労わるためのもの」というイメージが強く、「出産から何ヶ月も経ってるのに行く意味あるかな」と半信半疑でした。ですが、実際に行ってみると育児疲れがピークの時期で、まさにベストタイミングでした!
ー実際に産後ケアを体験してみて、どんなことを感じましたか?
時間に追われずにいただくご飯や、ゆっくり浸かるお風呂が、こんなにも心に沁みるものなのかと驚きました。 出産後は“二日に一度洗髪すればOKルール”で過ごしていたので、「母親である前に一人の人間だったな」と思い出せた感覚でした(笑)
ー「つい、子のことを考えてしまう」という描写に込めた思いを教えてください。
「私はちゃんとお母さんをやれてるのかな……?」とずっと不安でした。 でも、理想のお母さんを「やる」のではなく、少しずつ自分なりのお母さんに「なっていく」ものなのかもしれないなと思えました。 自分の時間がほしいと願う一方で、少しでも離れると心配で寂しいという、矛盾した気持ちをそのまま描きたかったんです。
ー今回の作品を通して、読者にどんなことを伝えたかったですか?
しっかり休むことで心と体に余裕が生まれ、また育児に向き合う力が湧いてきたよ!皆安心して休もう!と伝えたかったです。 真面目ゆえに頑張りすぎてしまう方は、「誰かに頼る=良くないこと」と思い込んでしまいがちです。
ですが、誰かに頼るのは、それだけ我が子を大切にしてくれる人が増えるということだと思います。そう考えると、少し気が楽になるかもしれません。
(海川 まこと/漫画収集家)
























