近鉄は、11月16日に大阪上本町駅にて、8A系が鉄道友の会が制定するローレル賞を受賞したことを記念して、受賞式・出発式を開催しました。8A系は、2024年に登場した新型一般車両ですが、どのような点が評価され、ローレル賞受賞に至ったのでしょうか。
■在来車両との併結も可能
2024年に登場した8A系は、近鉄では24年ぶりとなる新型一般車両です。外観は「近鉄らしさ」を残しつつ、デザインを一新する一方、車体裾を絞らずに、車体幅を2800ミリに拡大しました。そのため、現場での調整を通じて、車両限界を拡大しています。また、ブレーキ装置の読替装置により、他形式との連結も可能です。
車内は、扉間にロングシート、クロスシートに変換可能な「L/Cシート」を採用。また、各車2箇所に「やさしば」と呼ばれるスペースを設置しました。「やさしば」には、ベビーカーやスーツケースのキャスター等をかけられるストッパーもあります。
8A系は、奈良線・京都線・橿原線・天理線などで活躍しています。また、今後は8A系と同タイプの1A系、1B系、6A系を導入します。
また、8A系では、新たに5桁の車両形式名を導入しました。先頭の数字は線区、続くアルファベットはグループ、百の位は編成中の車両位置、十の位と一の位が編成番号を表しています。
■鉄道友の会は汎用性、柔軟性を評価
ローレル賞は、鉄道友の会が「優秀」と認めた車両に対して、与えられます。具体的な選考プロセスは、ブルーリボン賞・ローレル賞選考委員会が選んだ候補車両に対して、会員の投票結果を参考にしつつ、選考委員会が「優秀」と認めた車両を「ローレル賞」に選定します。
当日は、鉄道友の会は近鉄に、ローレル賞の賞状、ならびに盾を授与しました。鉄道友の会会長、佐伯洋氏は8A系に関して、「特急車両に負けない上質なスタンダード」と評しました。
続いて、鉄道友の会の選考委員長、尾藤千秋氏は、8A系をローレル賞に選定した理由を説明。尾藤氏は「選考委員会では、8A系の汎用性、柔軟性を評価した」と述べました。
具体的には、車体裾を絞らない車体幅2800ミリ・4扉20メートルの車体、在来車両と併結可能な点、エリアごとにロングシート/クロスシートに変えられるL/Cシートを挙げました。また、8A系から導入した新たな5桁の車両形式について、「将来の車両に対する近鉄の真剣な取り組みを強く感じた」と述べました。
個人的には、在来車両と併結可能な点、そして5桁の車両形式が高く評価されたことに、注目しました。近鉄は、広大な路線エリアを有することもあり、様々な車種との併結が当たり前のように行われています。新型車両であっても、既存の運行システムにしっかりと合わせています。
また、新型車両の登場の際、形式番号のインフレ化により、若い番号に戻ることは珍しくありません。つまり、近鉄のように、新型車両が登場したタイミングで、まったく新しい形式番号を制定する例は、あまり見かけません。
■まさかの1A系と8A系が並ぶ
当日は、鉄道友の会が8A系1編成を貸切り、臨時列車が運行されました。臨時列車の出発式では、2026年1月登場予定の1A系と並びました。1A系は青色をまとい、8A系とは異なる印象になりました。今後は、8A系・1A系などの令和生まれの新形式車両が、近鉄の日常をつくっていきます。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)
























