「心の病」は10~20代が最多 ※画像はイメージです(Nii Koo Nyan/stock.adobe.com)
「心の病」は10~20代が最多 ※画像はイメージです(Nii Koo Nyan/stock.adobe.com)

(公財)日本生産性本部(東京都千代田区)の『メンタル・ヘルス研究所』は、このほど12回目となる「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を取りまとめました。それによると、「心の病」は10~20代が最も多く、2014年調査の2倍の水準であることがわかりました。また、「最近3年間における『心の病』が増加傾向」と回答した企業は約4割にのぼりました。

調査は、全国の上場企業171社の人事担当者を対象として、2025年7月~8月の期間に郵送およびWEBで実施されました。

調査の結果、「心の病」が多い年齢層は、「10~20代」(37.6%)が2023年調査(43.9%)に続いて最も多く、2014年調査(18.4%)の2倍の水準となり、コロナ禍を経た働き方の多様化を背景に、特に若年層において従業員のメンタルヘルスが依然として大きな課題であることが確認されました。

また、直近3年間の「心の病の増減」を見ると、「増加傾向」と回答した企業は39.2%、「横ばい」は52.0%、「減少傾向」は4.7%となり、「増加傾向」は2023年調査(45.0%)より低下したものの、約4割と依然高水準になっています。

近年関心が高まっている「働き方改革やウェルビーイング推進の取り組みの目的」としては、「従業員の心身の健康維持・増進」(65.9%)や「従業員エンゲージメント向上」(62.9%)が上位に挙げられた一方で、「費用対効果が不明確」(45.0%)、「評価指標の設定が難しい」(43.8%)といった取り組みをどのように評価するかが課題として挙がりました。

次に、「組織風土・取り組みと”心の病”の増減傾向の関係」を調べたところ、「会社の理念や経営方針は従業員に浸透しない」と回答した企業では「心の病」の増加傾向が50.0%だったのに対して、「浸透している」と回答した企業では34.2%となり、理念や経営方針が浸透している企業とそうでない企業で15ポイント以上の差が見られました。

最後に、「ストレスチェック制度の課題」を尋ねたところ、ストレスチェック制度導入直後の2017年調査と同様に「集団分析結果の活かし方」(65.3%)が最多となったほか、「高ストレス者への面接以外のフォロー」(35.9%)、「医師面接勧奨者が面接を希望しないこと」(31.8%)が上位に挙がり、ストレスチェック制度導入から10年が経過しても傾向に変化は見られませんでした。