走馬灯なんて見てる場合か!!!(楚歌まことさん提供)
走馬灯なんて見てる場合か!!!(楚歌まことさん提供)

ピンチは日常の何気ない場面にやってくることもあります。漫画家・楚歌まことさんの作品『劇的ごっこ』は、不良少年2人のバイクをテーマにした物語です。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約2600のいいねを集めました。

本田と豊田は、いわゆる不良の高校生。今日も学校をサボり、先輩・佐古田に無理矢理交換させられたオンボロバイクを運転していました。しかし峠道の下り坂に入ったとき、ちょうどバイクのブレーキが壊れたのです。

しかもバイクが行く先には急カーブがあり、この速度では曲がり切れません。そこで本田は、手前にある比較的ゆるやかなカーブの道に入り、その先にある湖ごとバイクに突っ込めば助かるのではと考えます。

本田はピンチを乗り越える覚悟として、助かったら何がしたいかを豊田に問いました。しかし豊田には、何がしたいかまったく思い浮かばない様子です。なぜなら2人は学校もサボってばかりで将来の夢もなく、不良学生といっても佐古田のパシリとして日々を過ごしてきたからです。

そこで本田は、「佐古田の野郎をブン殴るってのはどうだ?」と提案します。というのも、このバイクが壊れていたのも峠道を走らされてるのも、元は佐古田のせいだったからです。佐古田は怖いけれども「こんな生きるか死ぬかのピンチ、乗り越えれば怖くねぇぜ」と2人は意を決します。

そのとき、本田はバイクにはエンジンブレーキがあることを思い出しました。しかしエンジンブレーキを使えば「新しいオレ達になることもない」と思い、2人はそのまま湖の方へと向かいます。

猛スピードで駆けるバイクを、豊田は「『劇的ごっこ』最後まで…楽しもうぜ!」と湖の建設中の橋へと突っ込んでいきました。バイクごと湖へと落ちた2人は、なんとか無事に浅瀬へと上がります。佐古田を殴りに行くことは「もういいや…」と話すも、2人は爽やかな笑みにあふれていたのでした。

読者からは「これぞ青春って感じ!」「熱い展開が好き」などの声が挙がっています。そこで、作者の楚歌まことさんに話を聞きました。

■名曲の疾走感と爽やかさを物語にした

-同作を描こうとお考えになったきっかけを教えてください

当時は読切で32ページまでと言う縛りがあったので、なかなかそのページ数に収まる内容が描けずにいまして、そこで「長いストーリーを短く収める」ではなく「一瞬の出来事を引き延ばそう」と言う考えに至った結果でてきた作品でした。

バイクをテーマにしたのは、「バイクで二人乗りしたカップルがブレーキが壊れて事故に遭ってしまう」と言うネットで見た話から着想を得ました。

ストーリー、キャラの掛け合いは「YAH YAH YAH」という曲からきています、あの疾走感と爽やかさと熱さを物語にしたくて。

-終始疾走感にあふれる本作ですが、お気に入りのシーンや台詞はありますか?

やはりラストの見開きの見せ場のところですね、「劇的ごっこ最後まで楽しもうぜ!」と言うセリフが気に入ってます。

一度覚悟を決めてやり切ると決めたなら最後まで味わい尽くして楽しみ尽くさんかい!ってなる2人が好きでした。

-同作以外で、最近発表された作品などあれば教えてください。

最近は「追い越せない女(男と女の夜道あるある)」と言うショートホラー漫画に挑戦しました。作画も漫画もだいぶ上達したと思うのでぜひ読んでほしいですね。

(海川 まこと/漫画収集家)