車の下に身を潜めていたしらすくん(画像提供:千晶さん)
車の下に身を潜めていたしらすくん(画像提供:千晶さん)

ある夜、思いがけず出会った小さな子猫。車の下に身を隠したその子を、見過ごすことはできませんでした。愛犬を亡くしてから3年、「次はきっと保護の子を」と心に決めていたXユーザー・千晶さん(@hershey021118)にとって、それは運命的な巡り合わせだったのです。保護猫の「しらす」くんと紡いだ日々とはーー

■車通りの多い道で出会った子猫

夜のウォーキング中、通りかかった駐車場でその子猫に出会ったのは2年前のこと。車の下でうずくまっていた子猫を見つけた通行人が「危ないから出ておいで」と呼びかけていました。

「ボンネットの中に入ってしまったようで、その人と一緒に呼びかけて出てきたところを保護しました」

子猫のそばには、親猫かきょうだい猫がいるはず。そう思って、飼い主さんは周囲を探し回りましたが、それらしき猫の姿は1匹もありませんでした。

「すぐそばは車の通りが多く、子猫をそのまま置いていくには危険でした。何度か親猫の姿がないか確認しましたが、やはりみつからず…覚悟を決めて、保護することにしたんです」

その子猫こそ、しらすくんでした。当時、生後2カ月。両手のひらにおさまるほど小さかったといいます。そんなしらすくんを抱きながら、飼い主さんはあることを思い出していました。

「3年前に愛犬を亡くし、もし次にお迎えするなら保護犬か保護猫にしようと決めていたんです。しらすに出会えたことにご縁を感じ、家族として迎え入れることにしました」

■「え、もうヘソ天?」人懐っこさに驚く日々

帰宅後、まずはしらすくんを先代犬のケージで休ませようとした飼い主さん。ところが、しらすくんは「そばにいて!」と訴えるように、鳴き続けたといいます。

「しかたなく、しらすをいったん部屋で自由にさせてみました。すると、臆することなく家中を探検し始めたんです」

しらすくんは、ひとしきり、家のパトロールを終えると満足したのか、飼い主さんの足元へやって来て、そのまますやすやーー

「さっき連れてきたばかりなのに、すぐ体をくっつけて寝てしまって…その安心しきった寝顔を見ながら、愛おしくてたまらなくなりました」

翌日になると、しらすくんはすっかり家に慣れた様子で、のびのびと過ごし始めました。

「ソファでへそ天になって眠る姿を見たときは、思わず笑みがこぼれたのを覚えています」

また、犬と暮らしてきた飼い主さんにとって、しらすくんとの暮らしは新たな発見の連続だったといいます。

「犬の場合は、キッチンなど入ってほしくないところには柵を設置すればよかったのですが、猫は軽々とジャンプして乗り越えてしまいます。ドアも自分で開けてしまうので、危険な物は置かないようにするなど、注意しなくてはいけないことがたくさんあることに気づきました」

犬と猫、一緒に暮らすうえで配慮しなくてはいけないことが大きく違うことに戸惑いもありましたが、それを上回る幸せを感じたと飼い主さんは語ります。

「しらすは、とても人懐こくて、犬のような行動をする子なんです。帰宅すると必ず出迎えてくれて、家族がいるときはずっとそばにいてくれます」

■“ずっとのおうち”で幸せにーー今、しらすくんへ抱く思い

保護当時は、窓の外をじっとみつめるしらすくんの姿を見て「外に出ない生活をすることは猫にとって幸せなのだろうか」と、複雑な思いを抱くこともあったという飼い主さん。ともに過ごした月日を経て、その思いも変わっていったといいます。

「自由がないことをかわいそうと思うこともありました。でも、外での暮らしは過酷です。少なくとも、しらすがずっと安心して暮らせるおうちを与えてあげることができたーーそう考えて、これで良かったんだと思うことができるようになりました」

2歳を迎えたしらすくんに、驚きの変化が。子猫のころは、ほぼ真っ白だった被毛が、シャム柄のように濃くなったのです。それもまた、しらすくんの唯一無二の魅力になりました。

出会いは突然だったーーでも、ときにご縁はそうして訪れるものなのかもしれません。優しい飼い主さんに見守られながら、しらすくんは今ものびのびと愛に包まれた日々を過ごしています。

「しらすには、うちに来て幸せだと思ってもらえているとうれしいです」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)