会社都合退職か自己都合退職…どっちが転職で有利? ※画像はイメージです(Beruta/photoAC)
会社都合退職か自己都合退職…どっちが転職で有利? ※画像はイメージです(Beruta/photoAC)

勤めていた会社の業績悪化にともない、突然の退職勧奨を受けた30代の会社員Aさん。「会社都合」にすれば失業手当がすぐに給付されるなど、金銭的なメリットが大きいことは分かっています。しかしAさんは、どうしても一歩を踏み出せずにいました。

その理由は転職活動での不安でした。たとえば面接で「リストラ対象になるような能力不足の社員」と思われるのが怖くてたまらないのです。それなら、いっそのこと自分から辞める「自己都合」にした方が安全なのではないかとの不安がよぎり、どちらを選ぶべきか迷い続けています。

「会社都合」と「自己都合」によって、再就職の有利不利があるのでしょうか。キャリアカウンセラーの七野綾音さんに話を聞きました。

■「会社都合だから不利」は本当なのか

ー離職区分が「会社都合」だと、再就職の面接で不利になりますか?

「会社都合だから不利」「自己都合だから安心」と単純に決まるわけではありません。採用の現場は、離職区分そのものを重視して合否を決めるところではないからです。面接官としては、書類上の区分よりも、その退職に至った経緯を本人がどう理解し、これからどう働いていこうとしているのかという点を重視しています。

避けるべきなのは、面接で自分を有利に見せようとして事実をごまかしたり、嘘をついたりすることです。取り繕おうとすると話の辻褄が合わなくなりやすく、面接官に「本当のことを話していないのでは」と不信感を抱かれてしまいます。離職区分を意図的に操作しようとするのではなく、実際の退職経緯に即して誠実に説明することが大切です。

ーリストラや退職勧奨による離職を、面接で伝えるときのポイントはありますか?

無理に強みに変換したり、ポジティブに言い換えたりする必要はありません。過度に美化しようとすると、かえって「作られた印象」を与えてしまい、採用側に違和感を持たれる可能性があります。

大切なのは、起きた事実と「これからどうしたいか」を分けて、客観的に話すことです。例えば、「前職では会社の業績悪化により部門全体の縮小があり、退職勧奨を受けました。しかし、この経験を通じて自分のこれまでのキャリアを振り返ることができました。自己分析を行う中で、〇〇の経験を活かして次は〇〇という方向性で働きたいという思いが明確になり、この機会に退職を決意しました」というように伝える方法が自然です。

出来事を変に飾るのではなく、どう受け止めて次に向かおうとしているかを伝える方が、聞き手にとっても受け入れやすいといえます。

ー「自己都合」による短期離職などの不安を、面接で払拭するコツを教えてください。

短期間で辞めることになった理由をしっかり聞きたい、というのが採用現場での実情です。短期離職の事実そのものをポジティブに評価してもらうことは、実際には難しいケースが多いものです。採用側としては、「またすぐに辞めてしまわないか」「何が原因で納得がいかずに辞めたのか」という点を知りたくて離職理由を聞きます。

そのため、面接で「職場の雰囲気が合わなかった」「思っていた仕事と違った」という不満だけを伝えてしまうと、採用側に不安が残ったままになってしまいます。

「なぜミスマッチが起きてしまったのか」「自分自身にも改善すべき点はなかったか」「次はどのような基準で職場を選ぼうと考えているのか」を、順を追って丁寧に説明する姿勢が重要です。自分の考えをしっかり相手に伝えることで、採用側の不安を解消することにつながります。

◆七野綾音(しちの・あやね) キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント
やりがいを実感しながら自分らしく働く大人を増やして、「大人って楽しそう!働くのって面白そう!」と子ども達が思える社会を目指すキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)