卒業後の進路、どうする?※画像はイメージです(maru54/stock.adobe.com)
卒業後の進路、どうする?※画像はイメージです(maru54/stock.adobe.com)

都内で暮らすパート勤務の48歳の鈴木さん(仮名)の長男は、軽度知的障害があり、特別支援学校高等部に通っていて、現在3年生です。小学生のころから放課後等デイサービスを利用し、放課後や長期休暇を安心して過ごしてきました。

しかし卒業が近づくにつれて、「これからは、日中はどこで過ごせばいいのだろう」と考えるようになりました。長男は「働きたい」という気持ちを持っているものの、一般企業への就職はまだ難しい面があり、親子で将来への不安を感じています。そんなとき、学校から「早めに進路相談をしましょう」と勧められました。

18歳は、子どもにとって大きな節目です。卒業後の進路や日中の居場所について、どのような選択肢があるのか見ていきましょう。

■放課後デイは高校卒業で原則利用終了…「18歳の壁」とは

放課後等デイサービスは児童福祉法に基づく、就学中の児童・生徒を対象としたサービスです。高校卒業後は原則利用できなくなるため、「18歳の壁」と呼ばれることがあります。
ただ、18歳を過ぎたら支援が途切れるわけではありません。高校卒業後は、大人向けの福祉サービスへ移行します。

◆放課後デイは18歳の誕生日で終わるわけではない

放課後等デイサービスは、18歳の誕生日を迎えた時点で一律に利用終了となるわけではありません。特別支援学校の専攻科や、認可された専修学校・各種学校などに在学しており、引き続き支援が必要と市区町村に認められた場合は、最長で20歳の誕生日前日まで利用を続けられる場合があります。

一方、高校卒業後に就労移行支援や就労継続支援、自立訓練などの大人向け福祉サービスに移行する人は、放課後等デイサービスの継続対象にはなりません。進路によって利用できる支援が変わるため、学校や市区町村の障害福祉窓口へ相談してください。

■卒業後の生活を支える福祉サービス

高校卒業後は、一般企業への就職を目指す人もいれば、障害福祉サービスを利用しながら働く力や生活に必要な力を身につける人もいます。本人の障害特性や希望、生活状況に合わせて支援を選ぶことが大切です。

◆一般企業への就職を目指すなら就労移行支援

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある人を対象とした福祉サービスです。日常のコミュニケーションや職業訓練を通じて、働くための知識やスキルを身につけられます。就職活動や職場実習など、就職に向けたさまざまなサポートを受けられる点が、大きな特徴です。

さらに、就職後は、職場での悩みや生活面の課題を相談できる就労定着支援などのサービスが受けられる場合もあります。

なお、就労移行支援の利用期間は、原則として最大2年間です。利用期間に制限があるため、就職に向けて段階的に準備を進めたい人に適しています。

◆支援を受けながら働くなら就労継続支援A型・B型

就労継続支援にはA型とB型があり、A型は雇用契約を結んで働く施設です。原則として最低賃金以上の賃金が支払われるため、一定の時間働ける人に向いています。

一方、B型は事業所と雇用契約を結ばず、就労や生産活動の機会を提供するサービスです。A型に比べて工賃は低くなるケースが多いですが、障害や体調に合わせた柔軟な働き方ができるため、体調に波があるなど安定した通所や勤務が難しい人も無理なく働けます。

なお、就労継続支援B型を新たに利用する場合は、原則として事前に「就労選択支援」を受ける必要があります。2025年10月に始まった新しい福祉サービスで、原則1カ月の間、短期の作業体験や支援員との面談を通じて、本人に合った進路を検討する仕組みです。

就労選択支援は、就労移行支援や自立訓練など他のサービスを利用する場合は必須ではないため、進路に応じて活用するかどうかを判断します。詳しくは、相談支援専門員や市区町村の障害福祉窓口に相談してください。

◆まずは生活の基盤を整えたいなら自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は、知的障害または精神障害のある方を対象とした、自立した日常生活や社会生活に必要な力を身につけるためのサービスです。生活リズムを整えるほか、コミュニケーションや金銭管理、家事などを学べます。

日常生活や社会生活に不安がある場合は、就職を目指す前に生活の基盤を整えることが大切です。自立訓練は、今すぐ働くのは不安があり、生活を整えながら将来の就労や地域での自立した生活を目指したい人に向いています。

■18歳の壁をどう乗り越えた?高校3年生から始めた進路準備

鈴木さん親子は、担任から卒業後の進路について説明を受けました。その後、学校の進路担当を通じて市区町村の障害福祉窓口に相談し、複数の事業所を見学しました。長男は見学を通じて「まずは生活リズムを整えながら働く力を身につけたい」と考えるようになり、自立訓練(生活訓練)の利用を決めました。

   ◇   ◇

18歳は支援が終わる節目ではなく、大人向けの支援へ移行するタイミングです。鈴木さん親子も、学校や相談支援専門員、市区町村の障害福祉窓口へ早めに相談した結果、卒業後の生活を具体的に描けるようになりました。進路選びに迷ったら一人で抱え込まず、周囲の支援者へ相談してください。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)