もしも世界でたった1人だけ生き残ってしまったら、どのような「その後の人生」を歩むでしょうか。このような想像は、誰もが1度はしたことがあるでしょう。
崩壊した世界を舞台に旅をする金髪のヒューマノイド・ゼロの物語『プロローグは終末で』(作:直江かおるさん)は、そんな想像のような世界が描かれています。同作の第1話がX(旧Twitter)で公開されると、8000以上のいいねを獲得しました。
物語は、とある博士が地下に隠された研究所で20年以上の歳月を費やし、究極のヒューマノイド兵器を完成させたところから始まります。愛らしい少年の姿とは裏腹に、戦車をも凌ぐ破壊力を秘めた彼と博士は、これまで自身を貶めた人たちへの復讐のために地上へと向かうのでした。しかし地上へ行ってみると、そこは人が1人もいない荒廃した世界が広がっています。
どうやら博士が地下で研究を進めている間に、文明が崩壊してしまったらしく、少年と博士は探索をしつつ畑づくりなどをして生活基盤を整え始めました。そんな生活のなかで、博士は少年に食べ物の美味しさや、本の面白さなどを教えます。
一方で博士は自分を理解しようとしなかった人たちに対して、「もっと理解しようとすればよかったのだ」と喪失感を抱き涙します。そんな博士に少年は「だったらまた作ればいいじゃないですか」「だって博士は天才なんでしょう」と何気なく言うと、博士は元気を取り戻すのでした。
それから歳月は流れ、博士は日記の中に膨大な量のタスクを記して他界します。この日記とタスクを見た少年は、タスクを博士からの「行ってほしい場所リスト」だと読み解きます。そして博士と暮らした土地を離れ、このタスクを完了させるため、新しい世界へと旅立つのでした。
読者からは「こういう終末世界的なのすき」「ラストの余韻があまりにも強烈で、しばらく作品の世界から抜け出せませんでした。」など、多くの賞賛の声があがっています。そんな同作について、作者の直江かおるさんに話を聞きました。
■同人誌の短編を基に「別れだけでなく希望」を描く
ー同作はどのように生まれたのでしょうか。
もともと同人誌で描いた13ページの短編がベースです。一番最初は、お花畑の見開きと金髪のヒューマノイドを描きたいという思いから始まりました。タイトルを「プロローグ」としたのは、ゼロが主人公の話がこれから始まっていくからです。担当さんが考えてくださった「世界の終わりが、ぼくのはじまり。」というキャッチコピーが、端的に作品を表してくれていて気に入っています。
ー第1話でひとつの物語を完結させた理由は何でしょうか。
同人誌の読み切りがベースということもありますが、ひとつの物語を終わらせないと、そもそも物語を始められなかったからです。別れだけでなく希望があるようにして、悲しいままの読後感で終わらないようにしよう、ということは意識しました。
ー第1話から先の展開を考えるうえで、読者へ早めに示す情報と、後の話まで伏せる情報をどのように組み込んでいますか?
設定のためにキャラクターが動くのではなく、キャラクターがその選択をしたらどうなっていくのかを考えるうちに、情報が精査できるようになっている気がします。構成をしっかり組み立ててから描くというより、描きながら「こっちの方がいいな」と思った方を選んで進めている感じです。
ー印象に残った読者の反響はありましたか。
エゴサーチをしないようにしているため、SNS上の反応をすべて確認できてはいません。ただ、担当さんから伝えてもらう感想や考察はどれもうれしく、「そういう捉え方もあるのか」と参考になります。作品の魅力とは少し違うかもしれませんが、私が思っている以上に博士が人気なので、いつも驚きます。
ー今後、描きたい作品を教えてください。
群像劇が描きたいです! また、読み切りで描きたい少年の話が何作かあるので、隙間を見て同人誌を出せたらいいなと思っています。
(海川 まこと/漫画収集家)























