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阪神・淡路大震災を機に成立した「被災者生活再建支援法」が適用された自然災害で、住宅が全半壊した世帯のうち、支援金の支給対象が一割未満にとどまっていることが、二十九日までの神戸新聞社の調べで分かった。年収・年齢要件がある上、住宅本体の再建、補修費には使えないことが主な要因とみられる。
同法は一九九八年に成立。二〇〇四年春の法改正で、被災住宅の解体撤去費などを支給する「居住安定支援制度」が盛り込まれ、支給額は最高三百万円となった。施行以来、二十三の自然災害(改正後は十)で二十五都道府県に適用された。支援金支給は〇三年末までに、十三の災害で総額二十二億八千八百万円にのぼる。
適用を受けた自然災害で全半壊したのは計約四万千八百棟で、一部損壊も加えると約二十八万千棟。運用に関する内閣府と被災自治体のデータを集計すると、このうち、今月二十四日までに支援金が支給されたり申請中の世帯は三千百世帯余りで、適用災害の全半壊世帯の7・5%にとどまっている。〇四年十月に発生し、今後も申請を受け付ける新潟県中越地震(約一万三千棟が全半壊)を除いても、11・0%となっている。
同法は世帯主が四十五歳未満で、一家の年収が計五百万円以上あると対象外。このため、幅広い被災者救済を目指し、兵庫県が〇四年十一月に要件を緩和したほか、福井県などが要件を設けない独自の補助制度を設けている。
同法の拡充を訴えてきた室崎益輝・消防研究所理事長は「制度が被災者のニーズに合っていない。再建意欲が高く、地域社会を担う働き盛りの世代の活力を引き出す制度が必要」と指摘。「国は対象外となった被災者の現状を調べ、制度を検証すべき」とする。
一方、内閣府は「現在は申請の途中で数字は流動的。水害や豪雪地域への弾力的運用も指示している」と説明。「全壊世帯の半数はカバーできるよう運用してきた。公的な支援としては機能している」と述べ、当面、制度を見直す考えはない、としている。(新開真理)
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