記事特集
阪神間のモダンな景観を形作っている戦前の建物の3分の1以上が、阪神・淡路大震災後の10年間に姿を消したことが、歴史的建築物の保存に取り組むNPO法人「アメニティ2000協会」(兵庫県西宮市)による調査で確認された。(田中真治)
西宮、芦屋、神戸(中央区以東)の三市で、二〇〇二年四月から〇四年五月まで調査。神戸市教委ほか編「神戸の近代洋風建築」(一九九〇年)など、震災前の資料を基に現地を歩いたところ、太平洋戦争以前に建てられた二百六十六件の建物のうち九十七件が存在していなかった。
日本の古典主義建築の最高峰の一つとされる旧第一勧銀神戸支店(大正五年、長野宇平治設計)をはじめ、旧居留地の商業ビルや教会など有名な建築が被災し、撤去された。さらに住宅の消失率が高く、阪急岡本駅北地区、阪神魚崎駅北地区、阪急夙川駅北西地区では五-八割に達するという。
倒壊は免れても、高額な補修費用や相続の問題で解体されるなど、「震災の影響によるものが大半と思われる」と同協会の清水彬久理事長(58)。
調査では、一昨年三月に伝統的建造物の認定が解除された北野・異人館街のバジャージ邸をはじめ、空き家などの理由から存続が懸念される建物も二十九件に上る。清水理事長は「所有者の努力には限界がある。街並みを守るには行政、地域との連携が必要」と話している。
調査は神戸市西部で継続中で、結果は今年夏ごろにまとめられる予定。
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