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阪神・淡路大震災後のがれき処理にあたった男性に交付された石綿健康管理手帳のコピー(写真の一部を画像処理しています)
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阪神・淡路大震災後のがれき処理にあたった男性に交付された石綿健康管理手帳のコピー(写真の一部を画像処理しています)

 阪神・淡路大震災後のがれき処理作業はアスベスト(石綿)の粉じんにさらされる業務だったとして、兵庫労働局が神戸市内の男性2人に、無料で健康診断を受けられる石綿健康管理手帳を交付していたことが分かった。被災建築物の解体、がれき処理をめぐっては石綿による被害が懸念されており、被害者支援団体は今回の措置を「発症の早期発見、治療に役立つ」と評価している。

 手帳の交付を受けた2人はいずれも、震災のあった1995年7月から、神戸・ポートアイランドに集まったがれきを可燃物と不燃物に分け、破砕、焼却する作業に携わった。従事期間は中央区の自営業の男性(39)が1年9カ月、北区の無職の男性(41)が1年2カ月。

 厚生労働省は、中皮腫や肺がんなど石綿関連疾病を発症する恐れがあるとして、過去に石綿を扱う業務に従事した人に1996年度から健康管理手帳を交付している。対象者は半年に1度、無料で健康診断を受けることができる。

 石綿を吸い込んだ症状が肺に出ているかどうかが主な交付基準だったが、2007、09年度の制度改正により石綿の作業歴が重視されるようになった。現在は石綿の製造や吹き付け作業のほか、吹き付けられた建築物の解体、破砕などの作業に1年以上従事し、初めて石綿にさらされた日から10年以上が経過した人たちを対象にしている。

 震災時のがれき処理は、石綿が吹き付けられた建物が含まれていたかどうかを確認できないが、兵庫労働局労働衛生課は「事業主の証明があり、1年以上の従事歴など要件を満たせば交付候補としている」としている。

 石綿被害者を支援するNPO法人ひょうご労働安全衛生センター(神戸市)の戸崎正巳さん(57)は「災害後のがれき処理にかかわった人への健康管理手帳交付はこれまで聞いたことがない。石綿疾病の早期発見のため制度活用を呼び掛けたい」と話している。(中部 剛)

2010/4/22
 

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