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阪神・淡路大震災を教訓に都府県単位で設立されつつある弁護士や建築士ら法律の専門家による被災者支援組織が、年内にも連携し、「災害復興支援士業全国ネットワーク」(仮称)として発足する。災害では法律上のトラブルが複合的に起きやすく、震災時は各専門家の合同チームが被災地に派遣された。同ネットワークは、被害が広域に及んだ場合や長期間の支援が必要な場合に役割が期待される。
震災後、被災地では地盤移動による土地境界問題やまちづくり、マンション再建など住民だけでは解決が難しい上、法律の専門分野が複数にまたがるトラブルが噴出。1996年、兵庫県と大阪府の弁護士や建築士、税理士、土地家屋調査士など6業種がNPO法人「阪神・淡路まちづくり支援機構」を作り、被災者らの巡回相談や紛争処理を担った。
同機構は2000年から全国で講演会を開き、「平時からの組織化が必要」と指摘。03年以降、東海地震の被害が懸念される静岡のほか、東京や神奈川、宮城で同様の支援組織が設立された。
ネットワーク発足の動きは約1年前、既存の全国5組織が東京で開いた共同シンポジウムで本格化。07年の新潟県中越沖地震、08年の岩手・宮城内陸地震で、府県を越えた専門家の相互応援が課題となっていた。
シンポでは「実践力を高めるためには全国的なネットワーク構築が必要」とする共同宣言を採択。近く各団体で立ち上げ準備に入り、早ければ夏の発足を目指す。各都道府県に加盟組織の設立を呼びかけ、福祉や医療分野の協力も求める。
阪神・淡路まちづくり支援機構の津久井進事務局長(弁護士)は「将来は府県をまたいだ大規模災害も起こりうる。地域ごとの組織では対応しきれない事態に備え、より幅広い業種、広い地域で連携しておく必要がある。震災時に助けられたことを忘れず、他地域と力を合わせていきたい」と話した。(安藤文暁)
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