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阪神・淡路大震災で負傷するなどし、身体に後遺症が出た「震災障害者」について、負傷が原因で仕事を失った人が約3割に上ることが28日、兵庫県と神戸市の実態調査(中間集計)で分かった。今も通院やリハビリをしている人が多く、半数近くは医療費を負担に感じており、震災障害者の厳しい現状が浮き彫りになった。
県と神戸市が11月、身体に障害が残った被災者328人(うち死亡121人)のうち、生存を確認した障害者本人や遺族269人に調査票を郵送。87人(遺族11人)から回答を得た。
その結果、負傷の状況は約半数の46人が家屋倒壊で、9人が家具の転倒でけがを負った。101日以上入院した人が22人に上り、脚に障害が残った人が半数以上を占めた。
全体の約3割が負傷で失業。今も何らかの理由で通院やリハビリを余儀なくされている人も半数を越え、約4割が医療費の負担が重いと感じていた。
また、震災当時、行政などの相談窓口があったことを知らなかったり、支援を利用していなかったりした人がいずれも約6割に上り、支援の網から抜け落ちた実態が示されている。
兵庫県と神戸市は昨年以降、震災障害者の実態把握を進めている。震災で親を亡くした遺児を対象にしたアンケートと同時に実施し、同日午前開かれた「復興フォローアップ委員会」で結果を報告した。
今後、回答者のうち同意を得た34人に聞き取りを行い、調査結果をさらに分析する。同委の室崎益輝座長は「(震災遺児のアンケートも含め)調査結果を、心のケアや今後の災害での対策に生かしたい」と話している。(井関 徹)
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