記事特集
阪神・淡路大震災の被災者を対象にした兵庫県社会福祉協議会の「震災特例貸付」で、県社協は15日までに、債務者が破産した1957件、計約3億4600万円について、返済を免除する方針を固めた。県社協は兵庫県の承認を得て、本年度中にも特例貸付で初の免除を適用し、債権整理を進める。
県社協によると、免除を検討しているのは、債務者が裁判所から破産宣告を受けたケース。これまで「未返済金」として残ったままになっていた。
この制度は、低所得者らを対象にした国の生活福祉資金の特例措置として設けられた。国が4分の3を補助し、残りは県が負担して、県社協が運営。1995~2000年に約6万件、計約103億2千万円貸し付けた。
未返済は昨年10月末現在、約2万8千件、約43億1千万円と貸付総額の約42%に上る。震災直後に設けた融資で、連帯保証人を必ずしも求めなかったことなどが背景にある。行方不明になったまま、民事上の「時効」が成立したケースもあるという。
特例措置のため、生活福祉資金にはある返済の免除規定がなく、県は再三、国に適用を要請。昨年3月ようやく国の了解を得て、同資金と同様の免除要件を整備した。
県社協はこれを受け、滞納者の現状確認が容易な「破産」に絞り、特定作業を行っていた。免除要件はほかに、連帯保証人がいない債務者が死亡、または返済期限後2年以上行方不明の場合などがあり、順次、債権整理を進める。
県社会援護課は「少額でも返済を続けている債務者もおり、返済能力がある人には返してもらうのが大前提。適切な債権整理に努めたい」としている。(井関 徹)
メモ
【震災特例貸付制度】
当面の生活資金用の「小口資金」、仮設住宅などから恒久住宅への転居世帯を対象にした「転宅資金」、被害世帯の生活再建を図る「災害援護資金」の3種類がある。限度額はそれぞれ、20万円、50万円、150万円。
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