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約9万人の死者・行方不明者を出した中国の四川大地震で、最大の被災地となった四川省北川県に今年末、「北川地震記念館」が完成する。被災した住民は新しい町に集団移転したため、倒壊した地区の建物をほぼそのままの形で保存、展示する世界でも例のない“震災遺跡”となる。阪神・淡路大震災の教訓を世界に発信する兵庫県内の取り組みが、構想のモデルになった。
四川大地震は2008年5月12日に起きた。成都の北約150キロにある北川県は少数民族チャン族の居住区で、約2万4千人が犠牲になったとされる。
学校が全壊して生徒約千人が死亡するなど町は壊滅状態になり、仮設住宅で暮らした数万人の被災者は約30キロ離れた場所に集団移転。その被害を伝えるため、無人となった町を丸ごと保存する計画が浮かび上がった。
同記念館建設のアドバイザーを務める中国・清華大公共安全研究所の顧林生所長(神戸大都市安全研究センター客員教授)によると、がれきの山になった学校をはじめ、倒壊寸前のビルなど222棟を耐震補強し、中心部に地震記念館を建設する。施設の運営や情報発信などのソフト面では、兵庫での取り組みを参考にするという。
昨年12月、四川省の復興担当者ら約10人が神戸市中央区の人と防災未来センターや淡路市の野島断層保存館を視察。断層をそのまま残した展示方法などを熱心に学んだ。
案内役を務めた同保存館の米山正幸副館長は「四川地震の教訓を、阪神・淡路大震災のように世界に伝えたいという熱意を感じた」と話す。
顧所長は、兵庫を参考にする取り組みとして、被災者が体験を伝える語り部活動▽世界の地震研究者の研修受け入れ▽防災ワークショップなどへの住民参加-などを挙げ「将来は四川、神戸、1999年に大地震のあった台湾が交流し、東アジアを世界の災害研究と防災教育の拠点にしたい」としている。(木村信行)
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