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災の国~問われる「覚悟」~

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集客の低迷が続く新長田駅南地区=神戸市長田区久保町5(撮影・風斗雅博)
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集客の低迷が続く新長田駅南地区=神戸市長田区久保町5(撮影・風斗雅博)

集客の低迷が続く新長田駅南地区=神戸市長田区久保町5(撮影・風斗雅博)

集客の低迷が続く新長田駅南地区=神戸市長田区久保町5(撮影・風斗雅博)

 高層住宅と地上1、2階、地下1階の「3層プロムナード」が、巨大な街区を形成する新長田駅南地区(神戸市長田区)。

 阪神・淡路大震災からの復興再開発事業により生まれた街に、昨年末、連日のようにテレビ局の撮影クルーの姿が見られた。

 震災20年に合わせた特集番組の取材だった。カメラの先には、閑散とした通りと、シャッターが下りたままの区画。商店主の一人が自嘲気味につぶやいた。

 「どうせ、復興の失敗例ってことで紹介されるんやろ。新長田の負の知名度が上がってしまうわ」

 巨大再開発は、なぜ「失敗」したのか。長く事業を担当した神戸市の元幹部に質問をぶつけた。「失敗」という言葉に、元幹部は首を横に振った。

 「地区内の人口は震災前から3割増えた。家を失った人は住まいを得たし、店を失った人も店を持った。何より、火災に強い安全な街になった」

 都市再開発法には、その目的は「都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新」とある。元幹部の答えを借りるならば、新長田の再開発は「課題は残るが、目的は達した」ということか。

     ■

 震災2カ月後の都市計画決定で、被災地の各地に導入された復興再開発事業と復興土地区画整理事業。ただし、「復興」とは「国の補助率が通常より高い」というメリットが主であり、制度そのものは平時と変わらない。

 「照応の原則」。それまでの土地にできるだけ近い場所に、同等の店舗・住宅スペースを確保するという都市整備事業の定石だ。新長田の再開発も基本はそうだったが、商業地としての戦略が欠けていた。昭和時代の店舗構成は変わらぬままで、客層や経済情勢の変化に対応できず、「新都心」の疲弊は早かった。

 復興区画整理でも、それは同様だ。全焼した菅原商店街(同区)では、震災を機に商売をやめる店主が相次いだ。照応の原則が適用された結果、店舗の配置はとびとびになり、商店街は住宅地に姿を変えた。

 地域の人口も半減した。喫茶店主の男性(63)は悔やしがった。「せめて区域の一画に店を集めてくれていたら、新しい展開があったかもしれない。これは復興ではなく、通常の区画整理だった」

     ■ 

 東日本大震災から間もなく4年。東北の被災地では復興まちづくりが本格化しつつある。

 国は「市町村主体の復興」を掲げ、復興交付金で市町村の財源を支える。だが復興交付金が使えるのは、国が定める40の事業に限られる。

 その多くは区画整理、再開発、防災集団移転など既存の制度に基づく。宮城県気仙沼市長、菅原茂(56)は「現状では交付金をもらうため、制度に合わせる形で復興事業を進めている。理想とは、あべこべの状況だ」と指摘する。

 過疎化と人口減少という地域の存亡に関わる課題に直面する被災地の復興に、平時の法制度を適用することへの限界を訴える自治体がある。

 震災で人口の7%に当たる1755人を失った岩手県陸前高田市である。

=敬称略=

(森本尚樹)

2015/1/6

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