日本三大瓦の一つで、400年以上の歴史がある「淡路瓦」の職人、興津直子さん(47)=南あわじ市津井=が、神戸新聞で連載中の創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」の主人公マルの招き猫とコースターを淡路瓦で作った。兵庫県内の地場産業とコラボレーションしたマル商品は初めて。細部まで意匠を凝らし、手作業で丁寧に仕上げられている。(藤原 学)
同市津井地区は淡路瓦の中心地で、いぶし瓦の生産量は全国屈指。約200万年前の地層から採れるきめ細かな土を素材に、焼成時、瓦表面に炭素膜をつくる「燻化(くんか)」を施すことで、美しい銀色の光沢を出すのが特徴だ。
直子さんは同地区の工房「タツミ」の社長祐扶(ゆうすけ)さんの妻で、日本家屋の棟の先端に飾る鬼瓦と庭などに置く飾り瓦の職人(鬼師)。同社は江戸末期から代々瓦作りに携わり、1973年に法人化。直子さんは初めての女性鬼師となった。
オーダーメードの飾り瓦や、ボタンの花、ネコなどの愛らしい作品を次々と考案。小学3年の長女が大のマル好きなこともあって、今回のコラボが実現した。
招き猫は高さ14・5センチ。右手を上げ、左手にはトレードマークのフランスパンを、頭には兵庫編に登場した明石タコのハチベエがのっている。コースターは直径9・5センチ、厚さ7ミリ。通常いぶし瓦の表面は炭素膜で覆われ水をはじくが、コップに付いた水滴を吸うよう、炭素膜をかけずに焼いた。いずれも重厚感があり、耐久性に優れている。
直子さんは「一つ一つ手作りで、商品の形やマルの表情が違う。自分だけのマルを楽しんでほしい」。神戸新聞オンラインショップ「LIVE STORE 得ダネ」で販売中。問い合わせはジェッソTEL078・366・6605(平日午前10時~午後5時)