盗まれたクレステッドゲッコー(提供写真)
盗まれたクレステッドゲッコー(提供写真)

 神戸市中央区で今月16日に開かれた爬虫類などの展示・即売会で、販売価格1匹60万円の希少なヤモリ2匹が何者かに盗まれていたことが26日、関係者への取材で分かった。2匹は「クレステッドゲッコー」という人気種で、盗まれた個体はさらに温度や湿度に応じて体の色が黒く変化する特長があり、高値が付けられていた。兵庫県警葺合署が窃盗事件として捜査している。

 即売会は「神戸レプタイルズワールド2023」で、15、16日に神戸サンボーホール(同市中央区浜辺通5)であり、爬虫類や両生類、鳥類などを扱う業者が集まった。被害に遭った同市長田区にある爬虫類の専門店によると、約200匹を出展。16日昼ごろにヤモリを1匹ずつ入れたケース2個がないことに気付いたという。

 盗まれたとみられるクレステッドゲッコーは雄と雌のつがいで、体長は18センチほど。2匹は高湿度な環境になると体の色が黒くなる「チャコールカプチーノ」と呼ばれる個体で国内でもわずかしか流通していないという。

 同店オーナーの男性(48)は「繁殖や転売を目的とした悪質な盗みだ」と憤っている。

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 手間がかからず、スペースをとらない。散歩の必要もない。マンション住まいでも手軽に飼育できるとあって、トカゲやヘビなどの爬虫類も今ではペットとして広く認知されている。

 日本爬虫類両生類協会(静岡市)によると、色鮮やかで愛嬌のある写真が交流サイト(SNS)で広がり、カメなども含めてペット需要のすそ野が拡大した。白輪剛史代表(54)は「今では国内で推定450万~500万人が両生類や爬虫類を飼っている」と話す。

 飼育下の繁殖で品種改良が進み、体や目の色などの個体差によって値段もさまざまだ。ヤモリでも数十万円以上の高値で取引されている。

 そのため、各地の即売会でも盗難被害が課題になっている。「1匹の値段が高く、小さいので隠されたらもうわからない」と白輪さん。主催者側は展示方法を工夫したり、私服警備員を配置したりして警戒しているという。