太平洋戦争末期の沖縄戦を描いた映画「島守の塔」(神戸新聞社など製作)が昨年夏、公開されました。脚本を担当した柏田道夫さんが映画を小説化した「映画ノベライズ 島守の塔」を出版しました。報道部の津谷治英記者が、書評で紹介します。
太平洋戦争末期、沖縄県知事として赴任した島田叡(あきら)さん=神戸市須磨区出身=は、民間人を含む20万人以上が犠牲になった戦場で住民の生命保護に尽力した。島田さんと、部下で生死を共にした荒井退造警察部長は沖縄だけでなく、全国で慕う人が多い。人々の心を引きつける魅力は何なのか。
改めて教えてくれたのが、昨年夏に公開された映画「島守の塔」だった。本書は、脚本を担当した著者が映画を小説化した。登場人物の背景の細微を描き、スクリーンで表現しきれなかった行間を埋める。
中でも島田知事と、知事付きの女性職員・比嘉凛(ひがりん)とのふれあいは、沖縄戦の複雑さを物語る。
戦火が近づき不安を募らせる県民に溶け込み、酒を酌み交わし、島の伝統「カチャーシー」を踊る島田さん。凛はそんな知事を受け入れられない。皇民化教育の影響を受け、県民統制で禁じられた歌舞音曲を避けようとしたからだ。
島田さんは時間をかけて凛の心の呪縛を解いていく。戦局が悪化し、陸軍が首里から南部へ撤退する中、2人は人々が次々と砲爆撃の犠牲になる姿を目の当たりにする。そして避難壕(ごう)で別れの時を迎える。「生きろ」と諭す島田さん。しかし凛はこう返す。
「嫌です。私はここで自決します」
島田さんは「バカヤロウ、家に帰るんだ」と叫ぶ。そしてこう続ける。
「命(ぬち)どぅ宝」
米兵は抵抗しない民間人を無残に殺したりはしないとも語る。島田さんの魅力を凝縮した場面といっていい。軍国主義の時代、堂々とこの言葉を口にできた人は少ない。
ある沖縄県人が島田さんについて語った内容を思い出した。「島田さんは豊かな教養の持ち主だったと思う」
だから沖縄の文化、命を大切にする思想を尊重できた。生死の境目の土壇場で、冷静な判断ができるリーダーだった。
記者は12年前、沖縄県南端を訪れ、島田さんの名が刻まれた「島守の塔」を初めて見学、彼のことをずっと考え続けてきた。島田さんをより身近に感じる1冊だった。
(言視舎・1650円)
【かしわだ・みちお】1953年、東京都八王子市生まれ。幼少期を豊岡市日高町で過ごす。脚本家、小説家、劇作家。青山学院大卒。「武士の家計簿」「武士の献立」で映画脚本を担当。

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