来年8月の退団を発表した宝塚歌劇団星組男役トップスター礼真琴(れい・まこと)さんが24日、大阪市内で会見を開いた。礼さんは「宝塚は青春そのもの。最後の日まで、全ての体力と筋力を使って情熱を傾け続けたい」と心境を語った。東京宝塚劇場での「阿修羅城の瞳」「エスペラント!」で退団する。
礼さんは東京都江戸川区出身。2009年に95期生として「Amour それは…」で初舞台を踏み、星組に配属された。卓越したダンスセンスと歌唱力で早くから注目を集め、入団5年目の13年に新人公演初主演。19年に星組トップスターに就任した。
歌、ダンス、芝居と三拍子そろったスターとして毎公演、大きな期待を背負って舞台に立った。「ダンスも歌も、好きだからといってできるわけではなく、舞台に立つからにはとがむしゃらにもがいていた」と振り返り、「猪突(ちょとつ)猛進に走ってきて、そこまでやけにならなくていいと今なら言ってあげたいくらい。少しは成長できたのかなと思う」と話した。
転機になった舞台に、新人公演初主演でもあった「ロミオとジュリエット」(13年)を挙げた。「本公演ではベンヴォーリオという役をいただき、最初は手も足も出なかった」。だが公演を重ねるにつれ「最後の方で自分なりに腑に落ちて演じることができ、歌と踊り、舞台で演じる楽しさを改めて感じられた公演だった」と振り返った。
退団についてはトップ就任時からずっと頭にあったといい、「コロナ禍が明け、公演を無事に完走できる状況になり、どれだけ必死に走ってきたかを振り返った。宝塚110周年という記念すべき年を全うしてから卒業したいという気持ちになった」と説明した。
トップお披露目公演はコロナ禍で一時、ストップ。昨年8月には公演途中に休演、その後、休養を経て復帰するなど、波乱もあった。「どこに向かえばいいのか、心が折れそうになる瞬間もあったが、組の仲間がそばで笑って力強く背中を押してくれたから続けてこられた」と星組の団員らへの感謝を口にした。
今年12月、一足先に退団する相手役のトップ娘役舞空瞳(まいそら・ひとみ)さんとは「卒業のタイミングは別になったが、これが私たちにとってのベストで、みなさんにもよかったと思っていただけるようにしようと話した」と明かした。
今後の出演予定は「記憶にございません!」「Tiara Azul-Destino-」(東京宝塚劇場で10月19日~12月1日)▽日本武道館コンサート「ANTHEM-アンセム-」(1月18~21日)▽「阿修羅城の瞳」「エスペラント!」(宝塚大劇場で4月19日~6月1日、東京宝塚劇場で6月28日~8月10日)