将棋の「第36期女流王位戦」(神戸新聞社主催)5番勝負で、日本将棋連盟は23日、挑戦者の西山朋佳女流三冠(29)=白玲、女王、女流王将=が体調不良を理由に出場を辞退したと発表した。規定により、挑戦者決定戦で西山に敗れた伊藤沙恵女流四段(31)が、繰り上げで挑戦者に決定。福間香奈女流王位(33)=清麗、女流王座、女流名人、倉敷藤花=との勝負に臨む。
第1局は予定通り24日、姫路市夢前町、塩田温泉の旅館「里湯ひととき夢乃井」で指される。
伊藤は東京都武蔵野市出身。屋敷伸之九段門下で、棋士養成機関「奨励会」を経て2014年に女流棋士としてデビュー。これまでタイトル戦の番勝負に12期出場し、22年には福間から女流名人位を奪っている。
福間と伊藤による女流王位戦5番勝負は、2期ぶり3回目。福間は7連覇、通算11期目の獲得がかかる。伊藤は初戴冠を目指す。
両者は23日夕、対局場を検分。福間は「私自身、長考派。持ち時間を存分に使って、自分の力を出し切れるよう、一局一局を大切に指したい」と抱負を述べた。
異例の措置で急きょ挑戦者となった伊藤は「ただただ驚いた。感情をどこに置いたらいいのか難しい」としつつ「棋戦を盛り上げたい。とにかく全力で挑みたい。最後まで目が離せないような中身の濃い将棋を」と意気込んだ。
第1局の立会人は村山慈明八段(40)。持ち時間は各4時間で、24日夜までに決着する見込み。対局の模様は神戸新聞NEXTでも速報する。また、24日午後4時から大盤解説会(姫路市共催、日本将棋連盟後援)を姫路キャスパホール(JR・山陽姫路駅前)で開く。神戸新聞社事業局TEL078・362・7086(午前10時~午後5時)(小林伸哉、藤森恵一郎)
■「少し休み再び盤上に」Xで報告
将棋の第36期女流王位戦5番勝負の出場を辞退した西山朋佳女流三冠(29)=白玲、女王、女流王将=は23日午後、X(旧ツイッター)で「医師の判断により、早急な手術および入院が必要となりました」と報告。「前兆や変化は確実にあったのですが、ストレスや過労によるものと誤認してしまっていました」と説明した。「少しの間休みましたら再び盤上に戻ってまいります」「今後ともどうか温かく見守っていただけましたら幸いです」としている。