兵庫県内に本社・本店を置く上場69社の2024年9月中間決算発表が18日から始まる。歴史的な円安を記録した為替相場の変動や人件費をはじめとしたコスト増、回復が続くインバウンド(訪日客)需要などが業績にいかに影響したか。27日投開票の衆院選や11月の米大統領選を控え先行きに不透明感が漂う中、通期業績予想にも注目が集まる。(大盛周平)
神戸新聞社の集計では、発表は今月18日のアジュバンホールディングス(神戸市中央区)から11月14日まで。集中日は同8日で、川崎重工業(同)やバンドー化学(同)、神姫バス(姫路市)など16社が発表を予定する。
24年3月期決算では、7割近くの企業が増収、6割余りが最終増益(赤字縮小を含む)となった。円安の進行や新型コロナウイルス禍の混乱を抜け、業績の上向き基調が持続した。
内閣府が9月に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は実質で年率換算2・9%増とプラス成長。物価変動を含めた名目GDPは同7・2%増で、額は607兆円と初めて600兆円を超えた。
今月16日に観光庁が発表した訪日客による1~9月の消費額も年間で過去最高だった23年の通年実績を早くも突破。日銀神戸支店(神戸市中央区)による9月の県内の企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の業況判断指数(DI)が新型コロナウイルス禍以降で最も高い水準で推移する。
ただ日銀が発表した9月の企業物価指数(20年平均=100、速報)は前年同月比で2・8%上昇し、43カ月連続のプラス。物価上昇や人手不足の中で実施が相次ぐ賃上げは個人消費の押し上げにつながる一方、企業のコスト増に直結する。原資確保に向けたさらなる価格転嫁の進展も課題となりそうだ。
りそな総研の荒木秀之主席研究員は「アメリカ大統領選があり、世界経済の情勢は目まぐるしく変わる。兵庫は輸出型の製造業も多く、情勢の注視が必要」と指摘。「過度な円安が修正されたことでインバウンドの落ち着きも指摘される。内需全体の停滞感が実感として強まることもある」と展望した。