川崎重工業神戸工場で最後の建造となったばら積み運搬船の進水式=2018年、神戸市中央区東川崎町3
川崎重工業神戸工場で最後の建造となったばら積み運搬船の進水式=2018年、神戸市中央区東川崎町3

 川崎重工業(神戸市中央区)の神戸工場(同)で、商船や潜水艦などの建造・修理で実施した工事の記録を実際とは異なる工事に付け替えていたことが明らかになった。川重が26日、この問題を調べていた特別調査委員会の報告書を公表した。それによると、付け替えは約40年前から続いていた可能性があり、同工場の歴代幹部が関与していたという。このような不正が続いた背景として、報告書は「過去50年にわたる神戸工場の商船建造の苦難」を挙げた。(足立 聡)

 多くの企業が仕事納めを迎えた26日午後6時前、川重は二つの調査報告書を公表した。一つは、海上自衛隊の潜水艦用エンジンの燃費データを30年以上にわたって改ざんしていたというもの。もう一つが、工事付け替え問題を調べたものだった。再発防止策を記したプレスリリースと合わせ、資料は計99枚に及んだ。

 付け替えは今年7月、防衛省が公表した特別防衛監察の結果で指摘されていた。同省は川重を厳重注意し、全体像を報告するよう求めた。今回の川重の報告はこれへの回答に当たる。

 報告によると、付け替えはさまざまな艦船の間で行われた。異なる潜水艦の修理の間で付け替え▽商船などの工事記録を潜水艦の修理に付け替え▽船体ブロックを造る工事の一部を潜水艦建造に付け替え-など。付け替え先は、大半が潜水艦の修理工事だった。

 不正は約40年前から続いていた可能性があり、歴代の工作部長が指示していた事例もあった。慣例化し、前任者から引き継ぎを受けた社員の中には、不適切と感じなかった者もいた。