マルアイが開発した親鶏の唐揚げ(提供)
マルアイが開発した親鶏の唐揚げ(提供)

 食品スーパーのマルアイ(加古川市)が、卵を産まなくなった親鶏(ひね鶏)の唐揚げを開発し、からあげグランプリの最激戦区、中日本スーパー総菜部門で最高金賞を受賞した。スーパーが販売する唐揚げの材料にはブロイラー(肉用鶏)を用いるのが「常識」で、親鶏を使うのは極めて珍しい。「採卵鶏の飼育が盛んな播磨地域ならではの味で勝負したい」と作り方の研究を重ね、頂点をつかんだ。(長尾亮太)

 グランプリは一番おいしい唐揚げ店を決めようと、日本唐揚協会(東京)が2010年から開き、今回で17回目。マルアイは過去に4回出品し、うち2回で金賞を取ったが、最高金賞には手が届いていなかった。

 そこで担当の内田滋デリカグループ長(44)が目を付けたのが親鶏だ。農林水産省の24年の調査によると、兵庫県内では43業者によって計565万羽の採卵鶏が飼われ、全国で12番目に多い。同社が地盤とする播磨地域には県内の採卵鶏の87%が集まり、親鶏をポン酢であえた料理「ひねポン」が親しまれる。加古川出身の内田さんも幼い頃からひねポンを食べ、親鶏のおいしさを知っていた。

 ただ、親鶏が唐揚げにされにくい理由もある。生後約50日で出荷されるブロイラーが軟らかくてジューシーなのに対し、飼育期間が500~750日におよぶ親鶏はうまみが強い一方、硬くて食べにくいのだ。そのためミンチやだしに加工されて出回っており、70店を展開する同社が商品化する場合、必要な量を安定調達できるかどうかも心もとなかった。

 これらの課題を克服できたのは、親鶏処理の印南食品(加古川市)の協力を得たからだ。同社は年間に約150万羽の親鶏を処理し、十分な供給力を持つ。食べやすくするため、硬さの原因となる筋を包丁で切ったり、たくさんの針が付いた調理器具でたたいたりする下ごしらえを担った。

 唐揚げの専門店が集まり、「聖地」とされる大分県中津市を訪問。人気店の店主から話を聞き、素材を生かす味付けの大切さを学んだ。味付け用のしょうゆは3種類をブレンド。親鶏が持つ後味を引き立てつつ、口にした瞬間の味わいが良くなるように配合割合を1%単位で調整した。

 グランプリの中でも、山梨県から兵庫県までの16府県が対象となる中日本スーパー総菜部門は最激戦区で、スーパー32社が参加した。2月の試食審査会では、調理から1時間たった唐揚げのおいしさを競った。審査委員長の八木宏一郎さん(50)は「誰からも見向きもされなかった親鶏を使い、あれだけ軟らかく、おいしく仕上げるのは考えられない」と評する。

 マルアイの内田さんは「採卵鶏の飼育が盛んな播磨地域で愛されてきた食材を、唐揚げというソウルフードで発信できてよかった」と喜ぶ。現在はマルアイの全店舗で販売している。