義民碑前で「鳴尾義民頌歌」を披露する西宮さくらんぼ合唱団のメンバーら=西宮市甲子園六番町、浄願寺
義民碑前で「鳴尾義民頌歌」を披露する西宮さくらんぼ合唱団のメンバーら=西宮市甲子園六番町、浄願寺

 命よりも水がほしい-。今から約400年前に水を巡る争いによって処刑された義民の追悼会が、西宮市甲子園六番町の浄願寺で開かれた。子孫や地域住民、市長ら約50人が喪服姿で参列。世話人代表の田中秀哉さん(59)は「先人の思いがあって今がある」としのんだ。(池田大介)

■子孫や住民ら参列「悲劇の歴史、語り継ぐ」

 豊臣秀吉が天下統一を果たした頃、長い日照りが続き、鳴尾村(戦後、西宮市に合併)の川は干上がった。水不足は米を育てる村人にとって死活問題。隣村には川が流れていたため、「水を分けてほしい」と頼んだ。が、良い返事はない。困り果てた村人は隠れて水を引くことを決意し、隣村の川底を掘って水を引き込んだ。