見ると思わず笑顔になるサンタが今年も現れた。兵庫県猪名川町上野の「松弥食堂」は、植木を刈り取って創作した巨大な顔が看板代わりとなっている。クリスマスシーズンには白いひげと帽子を身に着け、期間限定の変身を披露する。
食堂は町役場のすぐそばにあり、約3メートルに伸びたヒノキ科の園芸種ゴールドクレストが店の壁を覆うように生えている。10年ほど前、店主の中井三和子さん(76)が常連客だった植木職人に枝切りを頼んだ。
「ちょっと遊んでいいか?」と尋ねられ、「自由にやって」と返事。しばらくして表に出ると、目や口をくりぬいて男性の顔に生まれ変わっていたという。
その後は中井さんの長女(52)が年3、4回、生け垣用のバリカンでお手入れを担う。12月にサンタに変身させると道行く子どものはしゃぎ声が聞こえた。2月には角を生やして鬼にする。
ところが「もう今年でおしまいかなあ」と長女。木の衰えが目立つ上、脚立やはしごをかけて行う作業は危険を伴う。
例年、26日の朝にはきれいさっぱり元の顔に戻る。これは長女のこだわりらしい。町名物ほっこりサンタ。間もなく雪国へ帰ると、もう会えなくなるかもしれない。(小林良多)
























