高市早苗首相の写真を大きく印刷した選挙カーに乗って遊説する自民前職の西村康稔氏=7日午後、淡路市草香
高市早苗首相の写真を大きく印刷した選挙カーに乗って遊説する自民前職の西村康稔氏=7日午後、淡路市草香

 8日投開票の衆院選で、兵庫9区(明石、洲本、南あわじ、淡路市)は、自民党前職の西村康稔氏(63)と中道改革連合前職の橋本慧悟氏(37)の事実上の一騎打ちとなった。早々に当選確実を決めた西村氏は選挙戦で、支持率の高い高市早苗首相との親密さを強調し、高市氏の写真や音声メッセージなどをフル活用。対照的に、前明石市長で参院議員の泉房穂氏の「一番弟子」と称する橋本氏の「弟子PR」は控えめで、前回に続き泉氏本人の来援もなかった。

 公示2日後の1月29日。神戸市垂水区の舞子公園には、3区自民前職の関芳弘氏の応援に駆けつけた高市氏の横に、西村氏の姿があった。3500人(主催者発表)の聴衆を前にマイクを握った高市氏は冒頭、「なぜか(9区の)西村さんもお出ましで。自分の選挙でがんばってや」とおどけてみせた。

 経済産業相やコロナ担当相などを歴任してきた西村氏。故安倍晋三氏の首相在任中には高市氏とともに閣僚となり、2021年の党総裁選に高市氏が出馬した際は推薦人代表を務めた。

 選挙戦ではそうした関係性をPRし、「高市総裁の下で政策を進めさせてほしい」と繰り返した。選挙カーの前後左右に高市氏の写真を掲示。西村氏が党選対委員長代行として県外に応援に行っている間は、選挙カーで高市氏の音声メッセージを流した。

 前回衆院選は、自民党派閥の政治資金不記載問題で、派閥幹部だった西村氏が1年間の党員資格停止処分を受け、無所属での立候補となった。有権者から厳しい批判を受けた前回から一転、今度は「高市人気」の追い風を受ける展開となった。

 公示直前には、長年選挙協力をしてきた公明党が立憲民主党と合流したことで構図が変わり、警戒していた陣営関係者。「有権者の反応が前回とぜんぜん違う。高市人気はすごい」と驚いた。

     ◇

 一方、敗れた中道の橋本氏にとって、影響力が大きいのが泉氏の存在だ。立憲民主党の新人候補だった前回は「泉房穂の一番弟子」を連呼。国政への初挑戦ながら、明石市内の得票数で西村氏を148票上回り、比例での当選につながった。

 その泉氏は昨年の参院選に無所属で立候補し、全国の選挙区候補で最多となる約82万2千票を獲得。全国的な知名度と人気を誇る。だが、前回同様、泉氏の来援は一度もなかった。橋本氏によると、泉氏が出演するメディアとの契約などで、全国からの来援の依頼をすべて断っているという。

 橋本氏自身も、前回に比べ、選挙戦で「一番弟子」のフレーズを使う場面が大幅に減った。選挙ポスターなどには小さく泉氏とのツーショット写真を載せたものの、前回は選挙カーにあった泉氏の写真もなかった。

 その理由について、橋本氏は「泉氏に頼らず、1人の国会議員として自分の名前で勝負したい」と説明する。ただ、陣営関係者の中には、公示日の直前、新党を結成した公明党に、立民出身の橋本氏が配慮したとの見方がある。

 泉氏は市長在任時、自民や公明の市議に「次の選挙で落としてやる」といった暴言を浴びせたことが発覚し、その後辞職した経緯などがあるからだ。洲本市や明石市で中道が主催した集会では、橋本氏は一度も泉氏の名前を出さなかった。

 「公明さんのことを考えれば、泉さんは出ない方がいいかもしれないが、無党派層を取り込むには泉さんに出てほしい」。陣営関係者は複雑な思いをのぞかせた。

 報道各社が中道の厳しい情勢を伝えるようになると、支援者から「泉氏不在」をぼやく声も上がった。「泉さん、来てくれへんかなぁ。明石市民も、『あれ? 泉さんは来ないの?』と思っているのでは」(杉山雅崇、森 信弘)

■衆院選2026特集ページはこちら

■出口調査速報はこちら