ブルペンにつくられた高座に上がる桂吉弥さん=西宮市甲子園町
ブルペンにつくられた高座に上がる桂吉弥さん=西宮市甲子園町

 普段とは違った雰囲気で笑いを楽しんでもらおうと、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場内にあるブルペンで落語会が開かれた。プロ野球阪神タイガースのファン暦40年の落語家桂吉弥(きちや)さん(54)=尼崎市=が、もちつきなどをテーマにしたネタを披露。阪神グッズが当たる抽選会もあり、訪れた約200人は貴重な時間を堪能していた。(堀内達成)

 阪神電鉄が運営する甲子園歴史館と米朝事務所が初めて企画。球場内で快適に楽しんでもらうため投球練習場を会場に選んだ。3塁側はスタジアムツアーなどで入れるが、阪神が試合で利用する1塁側ブルペンは通常、立ち入ることができないという。

 桂さんは大阪府出身。神戸大在学中に落語と出合い、1994年に故・桂吉朝さんに入門。俳優としても連続テレビ小説「ちりとてちん」のほか、舞台作品にも出演している。

 高座に上がった桂さんは「ここで落語するのが夢だった」と感激。母方の祖父母の家が球場のすぐそばで、子どもの頃から球場に通ったエピソードを話した。本題では腐った豆腐を男に食べさせるネタや、代金をもらってもちをつくサービスを提供する「賃つき屋」をテーマにしたネタを披露。満席の会場は笑いに包まれた。

 阪神の来年のカレンダーなどが景品になった抽選会も盛り上がった。最後の景品となった中野拓夢内野手の直筆サインボールを手に入れた男性会社員は「もう当たらないと思っていたので、思わずガッツポーズをしてしまった」と興奮した様子だった。

 桂さんは「1塁側ブルペンに入ったのは初めて。声が良く響き、やりやすかった」といい、来年シーズンの阪神の活躍を願っていた。