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愛らしさが目を引くファーストシューズ。海外の目利きが手に取ることで、素材の良さの発信につなげる=県皮革産業協同組合連合会
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愛らしさが目を引くファーストシューズ。海外の目利きが手に取ることで、素材の良さの発信につなげる=県皮革産業協同組合連合会
播磨の革と播州織を手にする石塚昌美さん=姫路市網干区津市場
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播磨の革と播州織を手にする石塚昌美さん=姫路市網干区津市場

 兵庫県、とりわけ播磨地域は、古くから製革業が盛んな土地柄だ。動物の皮を革へと仕上げる業者や職人が多く活躍し、今も国内最大の産地という。ただ、時代は移り、職人仕事で生み出した天然皮革に代わる新素材も世にあふれる。「日本一の革どころ」といえども厳しい現実を前に、製革業者たちが、レザー復権に向けた動きを活発化させているという。いずれも播磨で培ってきた伝統の技に光を当て、国内外へ広く発信する取り組みだ。「はりま経済新聞」(全3回)で産地の今を紹介する。(段 貴則)

 ファッションをはじめ、各界の目利きが世界から集うフランス・パリに、早ければ今月下旬にも、播磨が誇る二大素材を使った靴が登場する。仕掛けるのは、製革業者の団体でつくる県皮革産業協同組合連合会(兵皮連、姫路市)だ。革と播州織を組み合わせた幼児用の靴「ファーストシューズ」をパリ中心部にある展示施設でアピール。「小さな足跡」を残しながら、世界市場へ第一歩を踏み出す。

 兵皮連の事業の一環。播州織工業協同組合(西脇市)に声を掛け、実現した。兵皮連によると、両者の「コラボ」は初という。

 靴を手掛けたのは、姫路市に工房「イシヅカ靴店×靴屋カフェ」を構える多可町出身の石塚昌美さん(40)。教員から職人の道に進み、イタリアで経験を積んだ後、皮革産業が盛んな姫路に移った。靴づくりの全工程を手作業でこなす。

 制作に当たって、姫路やたつの市の製革業者、西脇市にも足を運び、それぞれの素材について意見を求めた。使用した革は、牛の胃袋を原料にしたものなど、個性豊かな質感や手触りがウリ。一方、播州織も、日本ならではのデザインや技術を生かした素材が目を引く。海外でも人気の高いアニメ「鬼滅の刃」の主人公が身に着けている黒と緑の市松模様の柄に加え、世界に類を見ないという加工技術で、横糸を波のような曲線にして織り上げた生地を用いた。

 計16足を完成させた石塚さんは「ふわっとした生地の良さを失わないように、革に重ねて靴を形作るのが難しかった。その分、繊細で優しい靴に仕上がった」と自信を示す。

 兵皮連は3月までに1週間の日程で、日本製品を中心に展示するパリの施設に靴を並べる予定。担当者は「かわいい靴のデザインをきっかけに兵庫の地場産業に着目してもらい、もっちりした肌触りなど、海外の革とは違った国産革の良さを発信できれば」と話している。

■製革業者が播磨に集中

 国内革産地は現在、東京や栃木などの関東、奈良、和歌山にもあるが、製革業者の大半は、皮革産業の発祥の地・姫路を含む播磨に集積している。

 姫路皮革製品推進協議会によると、発祥の起源は諸説あるが、弥生時代後期に加工技術が海を越えて伝わり、但馬・円山川で試み、播磨・市川で成功して定着したという説が地元で最も知られているという。

 兵庫県皮革産業協同組合連合会は現在、県内の製革業者でつくる産地別の7団体(計約250社加盟)で構成。そのうち、県北摂地区皮革組合(川西市)の業者は生産拠点をたつの市へ移し、県内産地は播磨に集約されている。

 ただ国産革の市場は、海外産に押され、2015年の調査では、日本で販売される皮革製品に占める国産革のシェアは1割に満たなかったという。また、革が使われていた製品も、合皮やゴムなど、さまざまな素材に置き換わっている。

 革は、動物の皮を腐敗しないように処理する工程「なめし作業」を経て生産される。日本では古くから、動物の肉を食用に加工する際の副産物である皮を原料としてきた。国内製革業者でつくる日本タンナーズ協会(姫路市)は「環境にも配慮して国内で革を作り続けるのが、日本の皮革産業のプライド」とし、国産革の魅力を強調している。

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